鹿児島県薩摩川内市は5日、同市の下甑島北部で約8000万年前(後期白亜紀)の地層から発見された哺乳類の化石が、新属新種の多丘歯類であると発表した。この化石は、地名にちなんで「コシキバータル・カシマエンシス」と命名された。研究チームは、この発見が多丘歯類の進化や地理的分布の変遷を解明する上で重要な手がかりになると期待している。
発見の経緯と化石の特徴
化石は2019年に実施された集中発掘調査で見つかった。右下顎の一部で、長さは約3センチ。歯の形状がこれまでに発見された多丘歯類のものとは異なっていたため、新種と判断された。多丘歯類は、恐竜が繁栄したジュラ紀に出現した哺乳類で、ネズミなどの齧歯類に似た外見を持ち、約3500万年前に絶滅したとされる。今回の化石の体長は15~20センチと推定されている。
北米とアジアの哺乳類移動の可能性
多丘歯類の化石はこれまでモンゴルや北米で発見されているが、今回の標本は北米のものに形状が近いという。研究に参加した愛媛大学の楠橋直准教授(古生物学)は、「北米のものと近い仲間だとすると、北米とアジアの間で哺乳類が行き来していた可能性が見えてくる」と述べ、この発見が古生物地理学に新たな視点を提供することを示唆した。
この研究成果は、今後さらに詳細な分析が進められる予定で、白亜紀後期の生態系や哺乳類の進化に関する理解を深めることが期待される。



