ダンゴムシの殻、石を食べ「ムキムキ」に? 元野球部員の卒論がきっかけで解明
ダンゴムシの殻、石を食べムキムキに? 卒論で解明

春の訪れとともに庭先でよく見かけるダンゴムシ。くるんと丸まるその外骨格(背殻)は、特定の石を食べることで分厚くなることが、筑波大学の研究チームによって明らかになった。さらに、小さな体の中で石の構造を作り替えているという驚きの事実も判明した。

ダンゴムシの背殻の秘密

ダンゴムシは昆虫ではなく、エビやカニと同じ甲殻類に分類される。その背殻は、チョークや鍾乳石と同じ炭酸カルシウムの結晶で構成されている。脱皮を繰り返して成長するため、飼育時には炭酸カルシウムの供給源として石を入れることが推奨されるが、石の種類が背殻形成に与える影響はこれまで明確ではなかった。

実験内容と結果

研究チームは、異なるタイプの石を与えて約60日間飼育し、背殻の変化を調べた。使用した石は、同じ炭酸カルシウムでも結晶構造が異なる「カルサイト」と「アラゴナイト」、炭酸カルシウムを含まない「石英」の3種類である。

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その結果、捕まえた場所の土で育てたダンゴムシの背殻の厚さは30~50マイクロメートルだったのに対し、カルサイトやアラゴナイトを与えた個体は70~120マイクロメートルと大幅に厚くなった。一方、石英を与えた個体の背殻は30マイクロメートル以下と薄くなった。

さらに、アラゴナイトを与えたダンゴムシでも、背殻の内側にはカルサイトに似た構造の物質が形成され、最終的な背殻もカルサイトであることが確認された。これは「アラゴナイトを食べればアラゴナイトの厚い殻ができる」という事前の予想を覆す結果となった。

研究の意義と今後の展望

研究チームの興野純・筑波大准教授(52)は「ダンゴムシは食べた石をそのまま背殻にするのではなく、体内で石の構造を作り替えていることを示す成果だ。将来的には生物の構造を模倣した新材料の開発につながる可能性がある」と語る。

きっかけは元野球部員の卒論

この研究のきっかけは、興野准教授の研究室に所属していた元野球部員の学生が卒業論文のテーマとしてダンゴムシを選んだことだった。学生は「ダンゴムシが石を食べると殻が強くなるのでは」と仮説を立て、実験を開始。その後の追試と発展により、今回の成果に結びついた。

研究チームは今後、ダンゴムシの体内で起こる構造変換のメカニズムを詳しく解明し、応用研究へとつなげたいとしている。

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