福島医大が世界初の実証 スマホアプリでロコモ改善効果を確認
福島医科大学医学部整形外科学講座を中心とした研究グループが、スマートフォンのデジタル療法アプリを用いて、ロコモティブシンドローム(通称ロコモ、運動器の障害による移動機能の低下)を改善できることを実証した。デジタル医療によって人手を頼らずに運動習慣を形成し、身体機能を向上させることが証明された形であり、同医大によれば、ロコモに対してアプリによる改善効果を示したのは世界で初めてのケースとなる。
ロコモの現状と課題
ロコモティブシンドロームは、筋肉や骨、関節などの運動器に障害が生じ、立ったり歩いたりする機能が低下した状態を指す。国内では約4000万人以上、福島県内では70万から80万人が該当すると推定されている。支援や介護が必要となる最大の原因は、骨や筋肉の衰えによる運動器疾患であり、運動療法が有効な手段とされる一方で、自宅での継続的な実施が大きな課題となっていた。
研究グループの取り組みとアプリ開発
同講座の園部樹助教(34歳)と松本嘉寛教授(55歳)をはじめ、IT関連企業のフューチャーなどで構成される研究グループは、この課題を反映させ、高齢者でも使いやすい形で正しい運動方法を動画と音声でガイドするアプリを開発した。2023年から2024年にかけて、県内の4病院に通院するロコモ該当者47人を対象に、8週間ずつアプリを用いた運動介入試験を実施。その結果、平均運動実施率は93%、継続率は97%に達した。
アプリは実施状況を医師と即時に共有できる機能も備えており、松本教授は「医師が見守っているという安心感が運動の動機付けとなり、行動変容の第一歩につながったのではないか」と分析している。
顕著な改善効果と研究成果
運動の習慣化に加え、歩行能力のテストでは動きが速くなるなど明らかな改善が確認され、参加者の約3分の1がロコモ状態から脱却した。さらに、要介護リスクが高い「運動器不安定症」の状態にあった全員が、基準値以下まで改善するなどの効果が見られた。
研究成果をまとめた論文は、デジタルヘルス分野で国際的な権威を持つ学術誌「JMIRエイジング」に掲載された。ロコモだけでなく、高齢者のフレイル(虚弱)予防も課題となる中、福島医大は「次世代のデジタル医療として世界的な標準になり得る。本県から発信されたエビデンスが、国内外の高齢化対策に一石を投じる」と期待を寄せている。



