AI活用企業が75%に急増、業務効率化は進むも人員削減は限定的
財務省が全国の企業を対象に実施した最新の調査で、人工知能(AI)を業務に活用している企業の割合が75%に達し、約5年前の11%から大幅に増加したことが明らかになりました。この急増は、デジタル化の加速とAI技術の実用化が企業現場に急速に浸透していることを示しています。
業務時間削減効果は91%が実感、人員減少は28%に留まる
調査では、AIを活用している企業に対してその効果について尋ねたところ、業務時間の削減を挙えた企業が91%に上り、圧倒的多数が効率化のメリットを実感していることが分かりました。一方で、必要人員の減少を報告した企業は28%にとどまり、AIが人間の仕事を完全に代替するまでには至っていない現状が浮き彫りになりました。
この結果から、現在のAI活用は主に業務の補助や効率化を目的としており、人間からAIへの本格的な業務移行はまだ限定的な段階にあると言えます。企業はAIをツールとして活用し、生産性向上を図っているものの、雇用構造に大きな変化をもたらすほどには至っていません。
大企業89%、中小企業65%で活用進む
調査は2025年12月から2026年1月上旬にかけて実施され、1103社から有効回答を得ました。企業規模別では、大企業の89%がAIを活用しているのに対し、中小企業では65%となっており、規模による格差が依然として存在しています。業種別では、製造業で80%、非製造業で72%がAIを導入しており、製造業においてやや活用が進んでいる状況です。
活用用途は文書作成・検索が主流、高度業務は20%前後
AIの具体的な活用用途については、文書作成や情報検索といった比較的基礎的な業務が企業規模や業種を問わず多く見られました。一方で、財務分析や顧客分析といった高度な業務をAIに任せている企業は20%前後と少なく、専門性の高い領域へのAI導入はまだ発展途上にあることが分かります。
製造業では約10%の企業が、AIを組み込んだ機械を業務補助に活用していることも報告されました。これは、製造現場におけるIoT(モノのインターネット)とAIの連携が少しずつ進展していることを示唆しています。
今後は業務代替が進む見込み、AIエージェントにも注目
調査結果を踏まえ、今後はAIによる業務代替がさらに進展することが予想されます。実際、みずほフィナンシャルグループは10年間で最大約5千人分の事務作業をAIに代替させる方針を明らかにしており、金融業界を中心に本格的な業務移行が始まろうとしています。
さらに、人間に代わって複雑な作業を自律的に実行する「AIエージェント」の開発も注目を集めており、将来的にはより高度な業務領域でもAIの活用が拡大していく可能性が高いです。企業はAI技術の進化に合わせて、人材育成や組織改革を進める必要に迫られるでしょう。
今回の調査は、AI活用が企業の標準的な取り組みとなりつつある一方で、その影響が段階的に現れていることを明確に示しています。経済界は、技術革新と雇用維持のバランスをどう取っていくかが今後の重要な課題となるでしょう。



