米政府は9日、人工知能(AI)の開発企業に対し、安全基準の順守を義務付ける大統領令を発表した。国家安全保障や国民の権利保護を目的としており、主要なAI開発企業は来年までに政府への報告書提出が義務付けられる。
大統領令の概要
この大統領令は、AI技術の急速な進展に伴うリスクに対処するため、開発段階から安全対策を組み込むことを求めるものだ。対象となるのは、大規模言語モデルや画像生成AIなど、高度な能力を持つシステムを開発する企業であり、政府はそれらに対して透明性の向上や倫理的配慮を要求する。
具体的な義務内容
- AIシステムの安全性評価とその結果の報告
- 差別や偏見を防ぐためのデータ管理とアルゴリズム監査
- サイバー攻撃への耐性強化
- 国民のプライバシー保護に関する措置
これらの義務に違反した場合、罰金や開発停止などの制裁が科される可能性がある。また、大統領令は連邦政府機関に対しても、AI調達における安全性基準の設定を指示している。
背景と影響
AI技術の進歩は、医療や気候変動対策など多くの分野で恩恵をもたらす一方、誤情報の拡散や雇用喪失、軍事利用の懸念も高まっている。今回の大統領令は、こうした問題に包括的に対応するための枠組みを提供するものだ。業界からは、規制強化がイノベーションを阻害する恐れがあるとの声も出ているが、政府は安全性と競争力のバランスを取るとしている。
この大統領令は、今後米国議会での立法作業にも影響を与えるとみられ、AI規制を巡る国際的な議論にも波及する可能性がある。



