政府は、人工知能(AI)が生成する偽情報への対策として、新たな法案を今国会に提出する方針を固めた。関係者への取材で明らかになった。SNSなどでの偽情報の拡散を防ぐため、発信元の明示義務や、プラットフォーム事業者に対する削除要請の仕組みを盛り込む方向で調整している。
法案の背景と目的
近年、生成AI技術の急速な進歩により、実在する人物の映像や音声を精巧に模した「ディープフェイク」など、真偽の見分けが難しい偽情報が容易に作成・拡散されるようになった。こうした偽情報は、選挙への干渉や企業の風評被害、個人の名誉毀損など、社会に深刻な影響を及ぼす恐れがある。政府は、国民の安全と民主主義の基盤を守るため、法整備が急務と判断した。
法案の主な内容
法案の柱は以下の通り。
- 発信元明示義務:AIが生成したコンテンツを公開する際に、その旨を明示することを義務付ける。違反した場合の罰則も検討する。
- プラットフォーム事業者の責務:SNSや動画共有サイトなどの事業者に対し、偽情報の拡散を防ぐための措置(削除要請への対応、透明性報告など)を義務付ける。
- 被害者救済:偽情報によって権利を侵害された個人や企業が、迅速に削除請求や損害賠償を求められる制度を整備する。
今後のスケジュール
政府は、今通常国会への法案提出を目指す。与党内での調整を進めるとともに、野党や有識者の意見も踏まえて内容を詰める方針。成立すれば、AI時代の新たなルールとして、国内外で注目されることが予想される。
一方で、表現の自由や技術革新への影響を懸念する声もあり、慎重な議論が求められる。



