東京・上野の東京文化会館が改修工事のため先月から約3年間の休館に入り、オペラ公演のスケジュールや演目に深刻な影響が出ている。同館は1961年開館の老朽化が進み、雨漏りも発生。防水工事などのため改修し、2029年4月までの再開を予定する。オペラ上演に必要な設備を備える劇場は限られており、神奈川県民ホールも建て替えで長期休館中、渋谷のオーチャードホールも来年1月から休館に入る。
東京二期会の対応
東京二期会は主要公演の多くを東京文化会館で行ってきたが、代わりに新国立劇場やカルッツかわさき、横須賀芸術劇場などを組み合わせて公演。山口毅常務理事は「舞台機構の差や交通の便の悪さで演目が限定される」と話す。一方、文化庁の助成金を得て、休館中に山形市など地方3都市を巡るツアーを毎年計画。山口常務理事は「ピンチをチャンスに変え、地域にオペラの拠点を作りたい」と意気込む。
海外公演への影響
海外団体の「引っ越し公演」を手がける日本舞台芸術振興会(NBS)の高橋典夫専務理事は、「東京文化会館なしでは成立しない。3年間引っ越しオペラはできなくなる」と嘆く。航空運賃や宿泊費の高騰で、小さな会場や地方での公演は採算が難しい。高橋専務理事は「高齢スタッフの離職や客離れで日本のオペラが衰退する可能性がある」と危機感を表明。
今後の課題
劇場の改修時期が重なったことが深刻な影響の要因。管理者の異なる建物の調整は難しく、同様の問題が再発する可能性がある。昭和音楽大の石田麻子教授は「危機意識を共有し、団体は公演方法を工夫するとともに、地域連携や劇場間の協力で乗り切るしかない」と指摘する。



