日野町事件の再審可否、最高裁が年度内にも判断 40年前の強盗殺人、死後再審の可能性
日野町事件再審、最高裁が年度内に判断 40年前の強盗殺人 (16.02.2026)

日野町事件の再審可否、最高裁が年度内にも判断へ

40年前に滋賀県日野町で発生した強盗殺人事件「日野町事件」をめぐり、最高裁判所が再審開始の可否について年度内にも判断を示す見通しとなった。この事件では、無期懲役が確定した阪原弘・元被告が2011年に受刑中に病死しており、再審開始が確定すれば、殺人事件として戦後2例目となる「死後再審」の可能性が注目されている。

事件の経緯と再審請求の流れ

日野町事件は、1984年に滋賀県日野町で酒店を経営していた女性(当時69歳)が殺害され、金庫が奪われた強盗殺人事件である。元被告は1988年に滋賀県警察の任意取り調べで自白し、逮捕された。裁判では無罪を主張したものの、地裁と高裁は無期懲役を言い渡し、2000年に最高裁で刑が確定した。

元被告は再審請求中に病死したため、遺族が2012年に再審を請求。大津地方裁判所は2018年7月に再審開始を認めたが、検察が即時抗告したため、大阪高等裁判所で審理が継続された。大阪高裁も2023年2月に再審開始を認めたが、検察は最高裁に特別抗告しており、再審公判は開始されていない状態が続いている。

再審制度の見直し議論への影響

再審制度については、法務大臣の諮問機関である法制審議会が2025年3月から見直し議論を開始しており、再審開始決定に対する検察の不服申し立ての是非も主要な論点となっている。日本弁護士連合会や冤罪被害者らは不服申し立ての禁止を求めてきたが、今月12日にまとまった結論には盛り込まれなかった。

今後は与党内や国会で法改正に向けた議論が始まる見込みであり、日野町事件で最高裁が再審開始を認めれば、議論の方向性に大きな影響を与える可能性がある。法曹関係者の間では、「最高裁の判断がいつ出てもおかしくない」との声が広がっており、特別抗告から3年近くが経過している状況を背景に、年度内の判断を示す見方が強まっている。

刑事事件における最高裁判断のハードル

刑事事件で最高裁判所が高等裁判所の判断を覆すには、重大な事実誤認や審理の法令違反があった場合などに限られ、そのハードルは非常に高い。しかし、過去には鹿児島県大崎町で1979年に発生した「大崎事件」で、地裁と高裁が認めた元被告の再審開始決定を、最高裁が取り消した事例も存在する。

日野町事件では、新たに発見されたネガフィルムなどの証拠が焦点となっており、これが再審判断にどのように影響するかが注目される。元被告の長男・弘次さんをはじめとする遺族や支援者たちは、「無罪の証明を求め続けている」と訴えており、最高裁の判断を固唾を呑んで待っている状況だ。

死後再審の意義と社会的影響

再審開始が確定すれば、日野町事件は殺人事件として戦後2例目となる死後再審となる。これは、冤罪被害者の名誉回復や司法制度の信頼性向上にとって重要な意味を持つ。事件から40年が経過した今も、捜査と裁判の問題点を検証する動きは続いており、再審制度の見直し議論にも大きな影響を与えそうだ。

関係者によれば、「裁判所が2度にわたって再審開始を認めたにもかかわらず、検察の不服申し立てにより再審公判が始まらない状況は異例」であり、司法手続きの在り方そのものが問われるケースとなっている。最高裁の判断次第では、今後の再審請求や冤罪救済のあり方に大きな変化が生じる可能性がある。