「えっ? 香苗、ハブにされてるんですか?」
「いや。大将が小耳に挟んだだけで、確かなことはわからない。だから訊いてるんだ」
「彼女らは何も言ってませんでしたね。つーか、そんなことあったとしたら、しゃべりませんよね」
「なぜだ?」
「もし、本当に香苗がハブにされているんだとしたら、それを誰かにしゃべったことを首謀者に知られたら、自分らもハブにされますからね」
いじめの構造を語る稔
「首謀者? 何の首謀者だ?」と大将が問うと、稔は「いじめですよ。いじめには首謀者がいるんです」と答える。大将が「面倒くせえんだな……」とこぼすと、稔はさらに説明を続ける。
「いじめって、教師や親が考えているほど単純じゃないんです。生徒たちにとっちゃ、頭脳戦だし、神経戦なんです」
稔自身の経験と真吉の過去
「おまえもいじめにあったことがあるのか?」という大将の問いに、稔は「ありますよ」とあっさりこたえた。しかし、すぐに「けどね……」と付け加え、「真吉の場合、いじめられても、きっと助けてくれる女の子がいたんじゃないっすか?」と指摘する。
「そうでしたね」と、またしてもあっさりとこたえた。
この会話から、香苗を巡るいじめの可能性と、稔と真吉の過去の経験が浮き彫りになる。いじめの構図は単純ではなく、生徒たちの間の複雑な人間関係が影響しているようだ。



