「砂防の聖地」逆瀬川が土木遺産に認定 兵庫県がYouTubeで歴史的構造物を紹介
逆瀬川が土木遺産に認定 兵庫県がYouTubeで紹介 (11.04.2026)

「砂防の聖地」逆瀬川が土木遺産に認定 兵庫県がYouTubeで歴史的構造物を紹介

全国で土砂災害の被害が目立つ中、兵庫県宝塚市を流れる逆瀬川(長さ約6キロ)の砂防設備が「土木遺産」に認定されました。かつて「暴れ川」と呼ばれた川を治めた歴史的構造物として評価され、阪神北県民局が「砂防の聖地」として紹介する動画を制作し、3月から県の公式YouTubeチャンネルで公開を始めています。

「逆瀬川砂漠」と呼ばれた暴れ川の歴史

六甲山系東部に源がある逆瀬川は、大雨が降ると土砂が本流の武庫川をせき止めて逆流することから「逆瀬川」と名付けられたとも言われています。土や石が河原に堆積し、明治頃には川幅が200メートルにも及んだことから「逆瀬川砂漠」と呼ばれていました。明治中期頃には、土や石で埋め尽くされ、まさに砂漠のような景観が広がっていたのです。

砂防の父・赤木正雄による先駆的な工事

明治以降、砂防工事が繰り返し実施されましたが、特に1928年(昭和3年)に着工した工事は画期的でした。豊岡市出身で「砂防の父」と呼ばれた赤木正雄(1887~1972年)が指導し、様々な先駆的な砂防技術が採用されました。川岸と川床を固めて水を安全に流す工事「流路工」を日本で初めて施したのです。

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さらに、砂防堰堤には武士の防具のように、うろこ状に突き出るよう石を積み上げ、継ぎ目に水が直接当たるのを防ぐ「鎧積み」を採用し、耐久性を高めました。6年後に完成したこの工事の効果は絶大で、1938年の阪神大水害では大きな被害を受けた芦屋川(芦屋市)や住吉川(神戸市)などに比べ、逆瀬川周辺では被害を食い止めることに成功しました。この成果により、周辺は住宅街として発展していくことになったのです。

国際的に通用する「SABO」のルーツ

赤木が進めた「SABO(砂防)」は国際的に通用する日本語になっており、2019年には公益社団法人・土木学会(東京)が価値の高い構造物として「選奨土木遺産」のリストに入れました。上流の「ゆずり葉緑地」には1991年に建てられた「砂防のモニュメント」があります。白いドーム形の目立つ建物で、内部には土砂災害や砂防の歴史などに関する展示がありますが、残念ながら認知度は高くありません。

YouTubeで広がる歴史的価値の啓発

阪神北県民局は管内の5市町の地域資源をアピールするため、昨年10月から各地の名所を紹介する動画を「Discover阪神北~歴史・文化再発見の旅~」として県の公式YouTube「ひょうごチャンネル」で配信しています。3月公開の宝塚市編では、逆瀬川の砂防設備を取り上げ、その歴史的価値を詳しく解説しています。

監修した園田学園大名誉教授の田辺眞人さん(宝塚市在住)は「兵庫は砂防のパイオニアで、その象徴の逆瀬川が、あまり認識されていないのは残念だ。歴史を振り返って、その知恵を生かすことが減災につながる」と指摘しています。動画では、砂防設備の重要性について田辺さんが分かりやすく解説しており、現代の防災対策にも通じる貴重な教訓が伝えられています。

全国で土砂災害が増加する中、歴史的な砂防技術の価値が見直されています。逆瀬川の土木遺産認定とYouTubeでの紹介は、過去の知恵を未来の防災に活かす重要な取り組みと言えるでしょう。

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