備前丸、デビュー4か月で行き先未定
備前市が約2億9000万円を投じて建造した観光船「備前丸」(19総トン、全長15メートル、定員47人)の本格的な運用方法が決まらないまま、2月のデビューから4か月が経過した。長崎信行市長は、船の運営・管理を担うコンソーシアム(企業連合)を公募する方針を固め、いわゆる“放置状態”の解消に乗り出した。
建造の経緯と遅延
備前丸は2022年、日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」の構成文化財に、備前市の大多府漁港元禄防波堤(国登録有形文化財)などが追加認定されたことを受け、市がふるさと納税などを活用して建造を開始。2025年12月に完成し、今年2月に市民にお披露目された。
当初の計画では、大阪・関西万博の開催や訪日外国人客の増加を見据え、年間150日の運航で集客1万人を目指していた。しかし、2024年12月の完成予定だったが、デザイン会社と建造会社、市の3者協議に時間を要し、工期が遅延。運航計画が立てられないまま現在に至っている。
運営委託の方針
船の運航には航路の許可などが必要で、企画や集客といったプロデュース面のハードルが高いことから、市は市職員による単独運営は困難と判断。運航、旅行企画、プロモーションなど各分野に秀でた企業を公募し、委託する方針を決めた。
長崎市長は5月26日の定例記者会見で「船を核に、文化、歴史、景観、地域の誇りを生かし、需要を生み出したい」と述べ、委託方針を表明。約1年間の委託料として約2400万円を確保するため、一般会計補正予算案を6月1日開会の定例市議会に提案した。
今後のスケジュール
コンソーシアムの募集方法は今後検討し、今年9月5日に県全域で開幕する県主催の大型イベント「おかやまハレいろキャンペーン」に事業者の選定を間に合わせたい考え。ただし、事業者が決まった後も、約2年間は調査や実証実験に取り組む見通し。
カキフェスで試験運航
備前丸は5月24日、同市日生町で開かれた「ひなせ・かき(夏季)カキフェス」に登場し、約400人が無料乗船を体験するなど盛況を博した。市の担当者は「市民も運航の早期開始を待ち望んでいる。早く運航させたい」と話している。



