国立歴史民俗博物館「第5展示室」が33年ぶり刷新 多様性とジェンダーの視点で近代を再考
歴史民俗博物館「第5展示室」33年ぶり刷新 多様性で近代再考 (19.04.2026)

国立歴史民俗博物館「第5展示室」が33年ぶりの大刷新 多様性の視点で近代日本を再考

千葉県佐倉市にある国立歴史民俗博物館の「第5展示室」が、約2年半の改装期間を経て先月、展示内容を全面リニューアルして再開した。1993年から95年にかけて段階的に開室して以来、実に33年ぶりの大規模刷新となる。今回のリニューアルでは、ジェンダー(性差)や多様性といった現代的な視点を積極的に取り入れ、近代日本の社会と文化を新たな角度から見つめ直す場として生まれ変わった。

3つの柱で構成される展示テーマ

第5展示室が扱う時代は、19世紀半ば以降の幕末を経た明治期から、1930年前後の昭和初期まで。展示は「<国民>の誕生」「近代化する人びとのくらしと仕事」「<帝国>日本の社会と人びと」という3つの主要テーマを柱として構成されている。同館研究部歴史研究系の大串潤児教授は、報道関係者向けの内覧会で「自由平等博愛の価値観が広まる一方、戦争を繰り返すなどマイナス面もあった近代とはどういう時代なのか、考えられるようにした」と説明した。

労働と家族の実態をデータで詳細に分析

「近代化する人びとのくらしと仕事」のテーマでは、資本主義の発展や貿易拡大に伴う労働の変容、そしてそれが家族・生活・地域社会に及ぼした影響を詳細に考察。2018年の調査を基に、鳥取県のある農家における家族一人一人の労働実態をデータで示している。対象は71歳から2歳までの8人家族で、年間労働時間が最も多かったのは戸主の母(67歳)の3921時間、次いで長女(18歳)の3399時間、妻(40歳)の3278時間と、女性たちの労働負担が際立つ結果となった。

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当時は人口の半数以上が農業に関わっており、女性たちは家事や農耕に加え、養蚕や畳表製造などの手工業も担っていた。展示では、農村から都市へ出て重工業や鉱山で働く人々の生活ぶりも資料を通じて紹介されている。

災害史と多様な視点からの近代再考

現代と同様に社会に甚大な損失をもたらした災害については、「近代東アジアの震災」「関東大震災」の項目を設けている。岐阜・愛知両県などで7千人以上の死者を出した濃尾地震(1891年)、犠牲者2万人超の明治三陸地震津波(1896年)、そして関東大震災(1923年)で発生した火災旋風を描いた絵画など、各災害の実相を伝える資料を展示。

さらにリニューアルに際しては、「アイヌにとっての近代」「琉球・沖縄からみた近代」「『水平』をめざして」という三つの視点を通じて「近代を問い直す」ことを目指した。各視点に関する展示資料を増やし、東アジアの歴史や植民地統治についても、以前より深まった研究成果を反映させている。

開館情報と今後の展望

国立歴史民俗博物館は毎週月曜日が休館日(月曜が休日の場合は開館し、翌平日が休館)。入館料は一般900円など。問い合わせはハローダイヤル(050-5541-8600)まで。33年ぶりの刷新を果たした第5展示室は、単なる歴史展示の場ではなく、現代社会が直面する多様性やジェンダーの課題を考える上でも貴重な学びの場として、多くの来館者を迎えている。

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