令和の歌舞伎界を席巻する「小川家」が、六月大歌舞伎で再び注目を集めている。三代目中村時蔵の子孫たちで構成される小川家は、今回の公演で現役の歌舞伎俳優16人が勢ぞろいするだけでなく、中村萬太郎の長女である小川加奈絵(7歳)が“17人目”として舞台に立つ。父・萬太郎は「この経験は彼女の扉を開く」と期待を込めて語った。
小川家17人が共演
小川家は、大正・昭和に活躍した名女形・三代目中村時蔵の子孫たちであり、現在は播磨屋(中村歌六家)と萬屋(時蔵家)の二門に分かれている。2024年の中村萬壽、六代目時蔵の襲名披露公演では、孫、ひ孫、やしゃご世代まで14人が出演し、その多士済々ぶりが評判となった。今回は夜の部の「華舞於河賑 俄獅子」で17人が共演し、まさに“小川祭”とも言える舞台となる。
加奈絵の初舞台
加奈絵は日本舞踊の稽古に通い、歌舞伎鑑賞や楽屋訪問を楽しむ歌舞伎好きな少女だ。最初は恥ずかしさから消極的だったが、今は一生懸命に稽古に励んでいる。萬太郎は「期待に応えようと無理している面もあるはず。でも、どんな世界に進んだとしても、大勢の前に出るこの経験は彼女の扉を開いてくれるのではないか。親の勝手な妄想ですが…」と父の顔で語る。
萬太郎の芸道
萬太郎は昼の部の舞踊「戻駕色相肩」で、父の萬壽、甥の中村梅枝(時蔵の長男)と共演する。赤っ面風の次郎作(萬太郎)、白塗りの与四郎(萬壽)、禿(梅枝)による華やかな舞踊で、「大きくたっぷりと、空間を味わうように気取って勤めたい」と意気込む。
兄の時蔵が女形の修業を積んだのに対し、萬太郎は若手の頃から中村富十郎や坂東三津五郎の荒事に憧れ、立役として経験を重ねてきた。荒事だけでなく敵役、二枚目と芸域は広いが、「『大きさ』が今の一番の課題」と語る。七代目尾上菊五郎が5月に勤めた「寿曽我対面」の工藤祐経を見て、改めて「劇場を制圧するような大きさがある。『大きく大きく』と意識しないと」と刺激を受けた。
4月の「裏表先代萩」では荒事の代表的な役である荒獅子男之助を勤め、「やればやるほど遠くなっていくような感覚もあり、試行錯誤しています」と振り返る。
未来への思い
萬太郎の初舞台は32年前、5歳の時で、その時は大叔父の映画スター・萬屋錦之介も出演していた。今は自身の子ども世代がひたむきに舞台に挑んでいる。「彼らが大人になった時、私たちの世代で舞台を作ってあげられたらと思う。さらに次につながり、歌舞伎界全体に貢献できたら。それにはひと月、いい舞台をご披露することだと思います」と語った。
公演は3日から25日まで、東京・東銀座の歌舞伎座で開催。問い合わせは電話0570-000-489まで。



