福田満氏が語る幼少期の蚕飼育体験 中国山地での白い繭の思い出
福田満氏の蚕飼育体験 中国山地での白い繭の思い出

福田満氏が回想する幼少期の蚕飼育体験

岡山県瀬戸内市に住む福田満氏(84)は、幼少期に中国山地の古里で体験した蚕の飼育について、鮮明な記憶を語る。白く透き通った体を持ち、手のひらに置くとひんやりと冷たい感触が残る蚕の幼虫は、毎年春になると隣に住むばあさんから50頭ほど譲り受け、大切に育てていたという。

桑の葉を食べる大きな音と成長の過程

福田氏は、大型の菓子箱に蚕を入れ、至るところに生えていた桑の木から葉を摘んで与えていた。蚕が桑の葉を貪り食べる際には、意外と大きな音を立て、その様子を見ているだけで飽きることがなかったと振り返る。中国山地のてっぺんに位置する古里では、道端にも桑の木が豊富にあり、飼育に困ることはなかったという。

ばあさんから「2週間もすれば繭になるよ」と教えられた通り、蚕はあっという間に脱皮を繰り返し、口から透明の糸を吐き始めた。福田氏は、前もって準備した新聞紙袋に1頭ずつ蚕を入れ、箱に戻して息を詰めて待った。1日後、袋をのぞくと、袋いっぱいに光る糸が広がり、白い繭が完成していた。

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白い繭への思いとばあさんの温かい言葉

福田氏は、その繭について「これが本当の白ですと主張している繭」と表現し、純白の美しさに感動したことを強調する。最後は糸にするため、ばあさんに預けたが、ばあさんはいつも蚕のにおいがする手で福田氏の頭をなでながら、「えらいやっちゃ」と褒めてくれたという。この温かいやり取りが、福田氏の心に深く刻まれた思い出となっている。

福田氏は、蚕にかかわる全てのことが楽しかったと語り、自然と共生する古里の生活を懐かしむ。この体験は、現代の忙しい生活の中で失われつつある、素朴な喜びや人との絆を思い起こさせる貴重なエピソードとして、読者に静かな感動を与えている。

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