母の形見のホクロ、消えた後も再び現れた肘の秘密
母の形見のホクロ、消えても再び現れた肘の秘密

母と私の肘にあった小さなホクロ

30年前に亡くなった母の左肘には、小さなホクロがあった。それは曲がる場所の少し外側に位置し、パッと見て目立つところにあった。そして、子供の頃の私にも、全く同じ場所に小さなホクロがあった。このホクロは、母子だけの秘密のようで、幼い頃はうれしく眺めていたものだ。

思春期の反抗とホクロの消失

しかし、思春期に入り、親が疎ましく感じられるようになると、そのホクロは邪魔物に見えてきた。取れるはずがないと思いながらも、深く考えもせずに爪で表面をコリコリと削ったら、あっという間に取れてしまった。本気で取るつもりは毛頭もなかったので、私は慌てたが、後悔は先に立たず、ピンクの傷痕に変わってしまった。

傷痕からまたホクロが現れるかと期待したが、その気配はなかった。そして、目ざとく母に見つけられ、その訳を話したとき、母はすごく寂しげな顔をした。その表情は、当時の私には理解しきれなかったが、大人になり親になると、あのときの母の思いがより深く理解できるようになった。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

何十年後、再び現れたホクロ

ところが、それから何十年も過ぎたある日、私は自分の左肘に小さなホクロができていることに気が付いた。それは元あった場所から少し離れた、肘が曲がる内側の見えにくいところにできていた。まるで「まっちゃん、もう取らんといてな」と母が言っているような場所だ。

再び現れてくれたこのホクロは、母の形見のように感じられる。私は「これからはずっと大切にするよ」と語りかけている。大久保匡範(69)さんは、大阪府富田林市からこの心温まるエッセーを寄せた。ホクロを通じて、母との絆や時間の流れを静かに振り返る物語は、読む者の胸に深く響く。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ