幻の俳誌「かりたご」52冊寄贈、杉田久女の新たな句発見
幻の俳誌「かりたご」52冊寄贈、杉田久女の新句発見

戦前の俳誌「かりたご」52冊が福岡県立図書館に寄贈され、北九州市ゆかりの俳人・杉田久女(ひさじょ)のこれまで知られていなかった七夕の句や随筆などが確認された。女性俳人の黎明期を切り開いた久女の研究を進める新たな手がかりとなりそうだ。

「かりたご」とは

「かりたご」は日本統治下の朝鮮で発行された月刊の俳誌で、福岡出身の俳人・清原枴童(かいどう)らが1927年に創刊。太平洋戦争開戦の1941年まで約170号が刊行された。「朝鮮の正岡子規」と呼ばれた朝鮮人の朴魯植(パク・ノシク)らが同人として参加し、公募作品も掲載。久女は1930~35年、同誌の「婦人雑詠」欄の選者を務め、当時住んでいた北九州・小倉から郵送でやりとりしていたとみられる。戦後の混乱期に大半が失われたとみられ、国立国会図書館などでも収蔵しておらず、俳句研究者の間では「幻の俳誌」と見なされていた。

寄贈の経緯

寄贈された52冊は、創刊メンバーの一人・原三猿郎(1887~1930年)の孫、栗林眞知子さん(76)(東京都八王子市)が実家で保管していた。朴魯植について調査していた静岡県熱海市在住の作家、多胡吉郎さん(70)が約10年前に栗林さんが「かりたご」を所持していることを知り、コピーを取って調査する中で、全集などに載っていない久女の句に気付いた。栗林さんは「研究に役立ててほしい」と、2022年に県立図書館に全冊を寄贈した。

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新たに確認された句

新たに確認された句は、1931年9月号の裏表紙にある3句のうちの2句。〈うちあふぐ空のいづこに星の恋〉と〈星合の夜ふけし庭に佇めり〉で、いずれも七夕を詠んだ句だ。久女没後の1952年に長女・石昌子氏(故人)の編で刊行された「杉田久女句集」(角川書店)には、今回見つかった1句に類似した〈うち曇る空のいづこに星の恋〉が収録されている。今回の発見により、久女の句の変遷や創作背景の解明が期待される。

今後の展望

福岡県立図書館では、寄贈された「かりたご」をデジタル化し、広く研究者や一般の人が閲覧できるようにする計画を進めている。専門家は「これまで不明だった久女の活動の一端が明らかになり、今後の研究が大きく進むだろう」と期待を寄せている。また、同時代の俳人たちの作品や交流の実態解明にもつながる可能性がある。

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