修復ピアノと歌声が響く 福島の合唱団が伝承館で復興の思いを演奏
修復ピアノと合唱団が伝承館で復興の思いを演奏

修復されたピアノと復興の歌声が伝承館に響き渡る

双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館で14日に開催された「福島民友の日」において、特別な音楽体験が繰り広げられました。津波によって被災し、現在は同館に修復展示されている請戸小学校(浪江町)のピアノが、復興への思いを歌い継ぐ合唱団によって演奏されたのです。

被災ピアノとの初めての共演

鍵盤に指を滑らせ、ピアノと共鳴する澄んだ歌声を響かせたのは、「福島しあわせ運べるように合唱団」(二本松市)のメンバーたちです。代表の佐藤敬子さん(61歳)は「このピアノがみんなに守られて本当に良かった」と感慨深げに語りました。

佐藤さんは震災当時、二本松市で小学校教員を務めていました。東京電力福島第一原子力発電所事故後、同市には多くの浪江町民が避難し、佐藤さんも子どもたちを受け持つことになりました。その縁から、人がいなくなった浪江町に許可を得て足を運び、2015年春頃に請戸小学校に残されていたピアノを目にしたのです。当時、弾いてみると音がずれていたことを鮮明に覚えているといいます。

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神戸から福島へ受け継がれる歌

ほぼ同時期に、佐藤さんは二本松市の子どもたちと合唱団を結成しました。阪神大震災の被災地・神戸市で生まれ、復興の願いが込められた曲「しあわせ運べるように」に着目。「神戸の心の支えになった歌は福島の子どもの力にもなるだろう」と考え、歌詞の中の「神戸」を「福島」や「ふるさと」に替えて歌う活動を始めました。

東日本大震災から長い時間が経過しても、佐藤さんや合唱団のメンバーらは被災地への思いを寄せ続け、活動を継続してきました。しかし、修復された請戸小学校のピアノに触れる機会はこれまでありませんでした。今回の「福島民友の日」をきっかけに、初めての演奏が実現したのです。

ピアノにとっても特別な時間

メンバーの一人で福島医科大学1年の学生(19歳)は「このピアノは震災がなかったら、今日のように人に囲まれていたかもしれない。ピアノにとっても良い時間だったのではないか」と語りました。佐藤さんらは思いを込めて5曲を演奏し、ピアノと歌声が重なり合う鎮魂の音色が、会場に集まった人々の心を深く打ちました。

震災報道の経験を語る特別講話

同日のイベントでは、福島民友新聞社記者による「特別語り部」の講話も行われました。震災報道に長く関わってきた菅野篤司論説副委員長(東日本大震災・原子力災害伝承館客員研究員)と国分利也ふたば支社長が、それぞれの体験を語りました。

菅野論説副委員長は、国や県、東京電力への取材を続けてきた経験から「災害時に本当に対応できる備えがあるのか、自分の住んでいる場所で確認してほしい」と訴えました。国分支社長は、取材を通じて親交を深めていた故・馬場有元浪江町長が抱えていた住民避難に関わる苦悩や、渡辺利綱元大熊町長の中間貯蔵施設受け入れに至る心境の変化などを証言しました。

多彩な関連企画も実施

会場ではこのほか、福島民友新聞社本社が制作した絵本「ぼくのうまれたところ、ふくしま」の朗読会や子ども記者体験、「みんゆうデジタルアーカイブ(愛称・みんゆうみるモン)」のPRなど、多様な関連企画が実施されました。これらの活動を通じて、震災の記憶と教訓を次世代に伝える取り組みが進められています。

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