東京都心の自治体が、大規模災害に備えて地方との連携を強化する「第二のふるさと」づくりを始めた。首都直下地震などが発生した場合、人口過密な都市では物資や避難所の不足による混乱が予想される。そんな時、避難先として地方を頼る仕組みだ。普段からの交流は地方にもメリットがあるという。
品川区と飯田市が「結い保険」を開始
東京都品川区と長野県飯田市は4月、区民らが年間1人1万円で加入できる「結い保険」をスタートさせた。地震や台風などの災害時には、飯田市内の農家民泊などに6泊7日まで無料で滞在できる。災害がなくても、果物や加工品などの特産品が年1回届くほか、自然を満喫できる1泊2日の体験ツアーへの無料招待といった特典もある。
品川と飯田は約170キロ離れており、大災害でも同時に被災するリスクは低い。両者は「遠くの親戚のように助け合える関係」を目指している。
当初は100人を2カ月で募集する予定だったが、わずか10日で定員を超える人気となった。品川区の担当者は「結い保険をきっかけに、人と人がつながり、2地域居住などにつながることも期待したい」と話す。
鳥取県智頭町の「疎開保険」が先駆け
この取り組みの参考にされたのが、鳥取県智頭町が2011年に全国で初めて導入した「疎開保険」だ。これまでに首都圏の人など延べ約1500世帯が加入し、宿泊代が半額になる特典を利用して延べ約45人(2022年度以降)が民泊を楽しんだ。
町内で古民家民泊を営む青木正篤さん(72)は「都会の人が災害で困った時、田舎がよりどころになれたら。特典を使って町に来た人に、うちの田畑を案内したり、収穫した野菜をお土産に渡したりするのも楽しい」と話す。
実際に「保険」が利用されたケースもあり、その有効性が示されている。
識者が問う「東京の弱点」
専門家は、タワーマンションが被災後に使えるかどうかなど、東京の耐震基準や災害時の脆弱性を指摘している。首都直下地震では死者1.8万人、全壊・焼失40万棟という新たな被害想定も公表されており、備えの重要性が高まっている。
こうした中、都市と地方が互いに支え合う「第二のふるさと」づくりは、災害時の避難先確保だけでなく、地方の活性化にもつながる可能性がある。今後の広がりが期待される。



