北海道の運輸業界が人手不足打開へ新戦略 外国籍ドライバー採用と待遇改善で体制強化
深刻な人手不足が続く運輸業界において、北海道の企業が画期的な対策を次々と打ち出している。海外からの人材獲得に積極的に動く一方で、現役ドライバーの離職防止を目的とした待遇改善策も拡大。多角的なアプローチで要員確保に取り組む業界の新たな動きが注目を集めている。
韓国出身の経験豊富なドライバーが新たな挑戦
「信頼される社員になることを誓います」――こう力強く宣言したのは、韓国出身のパクさん(29歳)だ。先日行われた入社式では、出席者を代表して決意表明を行い、翌日には早速苫小牧市でトレーラーの運転実習に臨んだ。
パクさんは昨年日本の大学を卒業したが、留学前の韓国では既にトレーラー運転手としての実務経験を積んでいた。外国免許証から日本国内での免許への切り替え手続きも完了しており、早ければ今月中にも実際の運転業務に就き、独り立ちする見込みだ。
「ここで経験を重ね、将来的には後輩となる外国人の指導役になりたい」と語るパクさん。その目には確かな決意が宿っている。
多様化する人材確保策 海外採用と待遇改善の二本柱
パクさんを採用した企業では、農作物や製材などの輸送を手掛けており、従来から人手不足に悩まされてきた。今回、韓国出身のパクさんに加え、ワッタナーさん(27歳)とサンさん(33歳)という外国籍の新入社員3名を同時に採用。研修プログラムを通じて早期戦力化を図っている。
背景には、運輸業界全体を覆う深刻な人手不足がある。ドライバーの高齢化と若年層の入職減少が重なり、多くの企業が人員確保に苦慮している状況だ。
こうした中、企業が取る対策は二つの方向性に集約される。一つはパクさんの例のように、海外に人材を求める積極的な採用活動。もう一つは、現役ドライバーの離職を防ぐための待遇改善、特に食事手当の拡充など実利的な福利厚生の強化である。
北海道における外国人人材の重要性増す
北海道で働く外国人労働者は近年着実に増加しており、初めて4万人を突破したという統計もある。全国でも2位の伸び率を示す同地域では、外国人労働者がかつての「補完要員」から、今や業界を支える「主力」へと役割を変えつつある。
運輸業界に限らず、ITや介護など様々な分野で外国人人材への依存度が高まる一方、受け入れ側の負担増加も課題として浮上している。政府も特定技能制度の対象分野拡大を検討するなど、制度面での整備が進められている。
ランチ代の高騰が続く中、40年間変わらぬ食事補助額を見直す動きも広がっており、インフレ対策として政府レベルでも対応が模索されている。
業界の未来を担う新たな担い手たち
研修に励む外国籍の新入社員たちは、単なる労働力としてではなく、将来の業界をリードする可能性を秘めている。パクさんが語る「後輩を教える立場になりたい」という夢は、単なる個人の願いではなく、業界全体の持続可能性を高めるビジョンとも重なる。
北海道のバス各社では運転手不足解消のため運賃値上げに踏み切る一方、減便を続けざるを得ない状況も続いている。こうした中、外国籍ドライバーの採用拡大は、地域の交通網維持にも寄与する重要な施策となっている。
人手不足が広がる北海道において、運輸業界の構造転換は待ったなしの課題だ。外国人人材の積極的受け入れと現役従業員の待遇改善――この二つの対策がどのような成果を上げるか、業界関係者の注目が集まっている。



