働くシニアの活躍が企業存続の鍵に、定年廃止広がるも健康配慮や評価制度が課題
シニア活躍で企業存続、定年廃止広がるも課題

シニア雇用の拡大が企業存続のカギに

働くシニアを後押しする改正高年齢者雇用安定法の施行から、2026年4月で5年を迎えます。この法改正により、70歳までの就業機会確保が企業の努力義務となり、定年の廃止や引き上げ、継続雇用制度の導入に取り組む企業が増えています。しかし、健康面への配慮や労働意欲を高める評価制度の整備など、多くの課題が残されています。

建設現場でのシニアと若手の協働

佐賀県武雄市の物流拠点施設では、植松建設の社員である堤直弘さん(73歳)が、入社2年目の尾鷲航平さん(30歳)とペアを組み、施工管理を担当しています。堤さんは「ビスの向きは合っとる?細かい所まで見るようにしないと」と声をかけ、技術の継承に努めています。58歳で同社に入社した堤さんは、現在も週5日、各日7.5時間の勤務をこなし、給与は65歳時と同水準でボーナスも支給されています。

尾鷲さんは「堤さんは疑問点をすぐに聞ける先生のような存在」と話し、堤さんも「若手を育てることは自分にとっても多くの刺激がある。体が動くうちは続けたい」と意欲を見せています。このようなシニアと若手の協働は、技術継承だけでなく、双方の働く意欲向上にもつながっています。

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定年廃止と健康配慮の取り組み

植松建設は元々65歳定年で、70歳を上限に継続雇用していましたが、若手の採用難と社員の高齢化により、会社の存続が危ぶまれる状況でした。そこで、法改正を機に2022年に定年を廃止し、希望すれば何歳でも働き続けられる制度を導入しました。加齢に伴う体力低下や健康リスクを考慮し、年40時間の時間単位年休も新設しています。

さらに、朝礼の前後や現場巡回時に、社長や管理職がシニア社員に声をかけて健康状態を確認したり、労災事故防止のため機材の軽量化を図ったりする取り組みも行っています。現在の社員数は44人で、60代が11人、70代が4人を占め、シニア社員に対応した人事評価制度の整備も計画中です。

総務課長の荒木澄弘さん(71歳)は「70歳以降のキャリアや家計の設計がしやすくなったと好評です。これからも会社を支える存在として活躍してほしい」と期待を寄せています。

他の企業の取り組みと今後の課題

熊本県宇城市の輸送用機器製造会社「ケイ・エフ・ケイ小川」は2023年、原則70歳までの継続雇用制度を導入しました。同社もシニア社員の意欲の高さを評価し、制度の拡充を進めています。

しかし、シニア雇用の拡大には以下のような課題が伴います:

  • 健康面への配慮:加齢による体力低下や疾病リスクへの対策が必要です。
  • 評価制度の整備:労働意欲を維持するための公正な評価システムが求められます。
  • 技術継承の促進:シニアと若手の協働をさらに強化する仕組みが重要です。

改正高年齢者雇用安定法の施行から5年が経過し、シニア雇用は企業の存続戦略として定着しつつあります。今後は、健康配慮や評価制度の充実を通じて、働くシニアがより活躍できる環境づくりが課題となります。九州を中心とした地域企業の取り組みは、全国的なモデルケースとして注目されるでしょう。

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