花粉症シーズン到来、企業が従業員支援に乗り出す動き…治療費補助・マスク配布・避粉地勤務で「健康経営」
花粉症シーズン到来、企業が従業員支援に乗り出す動き

花粉症シーズン到来、企業が従業員支援に乗り出す動き

花粉症のシーズンが到来しました。国民の半数近くが抱える花粉症は国民病と言われ、今年の飛散量は平年を上回ると予測されています。近年は、従業員の健康管理が生産性向上につながると捉える「健康経営」の視点から、医療費の補助など花粉症対策に乗り出す企業が増えています。

企業の具体的な支援策

冷凍食品メーカー「クックデリ」(大阪)では、昨年新設した「花粉症手当」が従業員の受診ハードルを下げています。治療費の補助が受けられ、箱ティッシュも無料で配布されることから、これまで市販の目薬で乗り切っていた従業員も病院を受診するようになりました。同社ウェルビーイング推進室の担当者は「症状が悪化すると味覚に影響を及ぼし、商品開発などに支障が出る」と話し、対策の充実を図っています。

IT会社「アイザック」(東京)は、生産性の低下を防ぐため、2~4月に沖縄などの「避粉地」でリモートワークをする際の宿泊費や作業場の使用料を補助する制度を導入しています。約15%の社員が利用する人気制度で、昨年からは補助額を最大30万円に増やし、滞在先での託児費用も対象に加えました。

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物流会社「北王流通」(東京)は、集中力の低下や眠気の副作用が少ない飲み薬や点鼻薬、目薬をドライバーに紹介し、購入費用の一定額を補助しています。同社業務部の担当者は「ドライバーの健康管理が安全運転にもつながるので、継続してサポートしていきたい」と強調します。

経済損失と国の取り組み

花粉症による集中力低下が企業活動に与える影響は深刻です。東京商工リサーチが2024年に約4600社に行った調査では、4社に1社が「業務に悪影響がある」と回答しました。パナソニックによる昨年12月のインターネット調査では、花粉で1日のうち平均約3.2時間の労働力低下を実感し、これに国の調査を加味した推計の経済損失額は1日約2450億円に上りました。

経済産業省が民間と連携して行った2025年度の「健康経営度調査」では、空気清浄機の設置や治療の補助などの花粉症対策に取り組む企業は、回答全体の3割近い約7700社に上り、前年度比7%増となりました。同省は健康経営を推進しており、2016年度には健康経営を実践する企業を優良法人として認定する制度を創設し、2023年度には花粉症対策を評価項目に加えています。

今年の花粉飛散予測

気象情報会社「ウェザーニューズ」によると、今年のスギ花粉の飛散は14日に関東地方で開始しました。中・四国は2月下旬~3月中旬、近畿は3月上旬~中旬に本格化するとみられています。飛散量は全国的に平年を上回る見込みで、平年比は福井1.5倍、大阪、京都、徳島1.4倍などとなっています。

同社によると、スギは飛散量が多い「表年」と少ない「裏年」が交互に訪れるとされますが、今年は西日本の多くの地域が裏年に当たります。ただ、昨夏の気温が高く日照時間も長かったため、花粉を飛ばす雄花がよく成長しており、「裏年傾向を相殺している」と分析しています。

医療機関からのアドバイス

症状を抑えるには、抗アレルギー作用の飲み薬を中心に、ステロイドの点鼻薬や点眼薬を組み合わせることが推奨されます。近年は病院での処方薬と市販薬の成分差がなくなってきていますが、新しい飲み薬や即効性のある注射薬は医療機関でしか処方されません。

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関西医科大香里病院・耳鼻咽喉科の浜田聡子診療部長は「症状がひどくなった場合や、受験を控えしっかり症状を抑えたい場合などは、受診を検討してほしい」と呼びかけています。企業の支援策が広がる中、個人の健康管理も重要な課題となっています。