個人の自己破産申立件数、2025年は8万3100件に達する
東京地裁(東京都千代田区)の司法統計によると、個人による自己破産の申立件数は、2025年の速報値で8万3100件に上った。これは前年の7万6309件から6791件(8.8%)増加しており、2011年の10万510件以来、実に14年ぶりの高い水準となっている。
物価高が続き、3年連続で増加傾向
物価高が長期化する中、自己破産件数は3年連続で増加している。生鮮食品を除く物価上昇率は、2022年4月から2026年1月まで46カ月連続で前年比2%以上を維持。一方、賃金の伸びは物価高に追いつかず、物価の影響を考慮した働き手1人あたりの実質賃金は2022年から2025年までの4年連続でマイナスとなっている。
ニッセイ基礎研究所の福本勇樹・金融調査室長は、「物価高による生活コストの上昇に賃金の伸びが追いついていないのが根本要因だ」と指摘する。生活費を工面するための借金が返せず、破産を迫られる例が増えているとみられる。
かつての多重債務問題から現在の状況へ
個人の自己破産は、かつて多重債務が社会問題化し、2003年には約24万2千件に達した。その後、改正貸金業法が2006年に成立し、2010年に完全施行されたことで、利息制限法の上限(20%)を超えるグレーゾーン金利が撤廃され、年収の3分の1超の貸し出しは原則禁止された。
これにより自己破産件数はおおむね減少傾向にあったが、2023年に再び増加に転じ、現在の高水準に至っている。福本氏は、借り入れが容易になったことも一因と分析している。
現在の経済環境では、預貯金などの余裕が少ない世帯が生活費の負担に耐えきれず、借金に頼らざるを得ない状況が続いている。この傾向は今後も深刻化する可能性があり、家計の健全性に対する懸念が高まっている。



