東京都が難病患者の職員採用枠を新設 2027年度から選考開始へ
東京都は新年度、障害者雇用の対象とならない難病患者の職員採用枠を新たに設ける方針を明らかにした。2027年4月採用の職員から新たな枠の選考を実施する予定で、厚生労働省が難病患者の雇用を障害者雇用率の算定に加える検討を進めている国の動きも踏まえた取り組みとなる。
小池知事が都議会で方針表明
小池百合子知事は26日、都議会で駒崎美紀議員(都民ファーストの会)の一般質問に答える形で、この新たな採用枠の設置方針を正式に表明した。小池知事は「誰もが活躍できる社会の実現には、個々の抱えている事情にかかわらず能力を発揮できる環境づくりが重要」と述べ、就労に困難を抱える難病患者を広く対象とした選考を始める考えを示した。
対象となるのは、障害者総合支援法で支援対象となっている376の疾病に加え、都が独自に難病医療費助成をしている疾病の患者たちだ。正規職員として事務職で採用し、テレワークを活用するなど働き方は個別に対応する方針である。採用人数や選考方法、実施時期については現在未定となっている。
国の動きと自治体の先行事例
厚生労働省は昨年10月、有識者による研究会で難病患者の雇用を障害者雇用率の算定に加える検討をしていると説明しており、2026年度にさらに議論を進めるとしている。障害者総合支援法では、厚労省の指定難病など対象疾病の患者が障害福祉サービスなどの支援を受けられるが、障害者手帳を持たない人は企業に義務付けられた障害者雇用の対象外となっているのが現状だ。
すでに難病患者の採用枠を設けた自治体も存在する。都道府県レベルでは山梨県が初めて実施し、昨年4月に3人が採用されている。東京都の今回の取り組みは、こうした地方自治体の先行事例を参考にしつつ、大都市ならではの規模で展開されることになる。
多様な働き方の実現へ
今回の採用枠新設は、単なる雇用機会の拡大にとどまらない意義を持つ。テレワークの活用など、個々の健康状態に合わせた柔軟な働き方を提供することで、これまで就労が困難だった難病患者が能力を発揮できる環境を整備することを目指している。
小池知事が強調した「誰もが活躍できる社会の実現」という理念は、障害の有無や病気の種類にかかわらず、すべての人が社会参加できる機会を保障するという、より包括的な社会構想の一環として位置付けられる。東京都のこの取り組みが、他の自治体や民間企業にも波及し、日本全体の雇用環境の多様化につながることが期待されている。
今後の課題としては、具体的な選考方法の確立や、採用後の職場環境整備、キャリアパスの構築などが挙げられる。東京都はこれらの詳細を詰めながら、2027年度の採用開始に向けて準備を進めていく方針だ。



