労働時間「増やしたい」は10.5% 働き方改革総点検で実態明らかに
労働時間「増やしたい」10.5% 働き方改革総点検公表 (05.03.2026)

労働時間「増やしたい」10.5% 働き方改革の実態調査で明らかに

厚生労働省は5日、働き方改革に関する総点検調査の結果を公表した。それによると、労働時間を「増やしたい」と回答した労働者の割合は10.5%に留まった。一方で、時間外労働の上限規制(複数月平均80時間)を超えて働きたいとする人はわずか0.5%だった。

調査の背景と実施概要

この調査は、時間外労働の上限規制を導入した「働き方改革」の実態と労働者のニーズを把握することを目的として実施された。昨年10月、全国の労働者3千人を対象にアンケート調査が行われ、働き方に関する詳細なデータが収集された。

労働時間に関する意識調査では、「このままで良い」との回答が59.5%と過半数を占め、「減らしたい」は30%、「増やしたい」は10.5%という結果となった。この数字は、多くの労働者が現状の労働時間に満足しているか、むしろ減少を希望している実態を浮き彫りにしている。

労働時間増加を希望する理由

労働時間を「増やしたい」と回答した人々にその理由を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「たくさん稼ぎたい」で41.6%を占めた。次いで「残業代がないと家計が厳しい」が15.6%となっており、経済的な理由が労働時間増加希望の主な動機であることが明らかになった。

注目すべきは、過労死ラインとされる月80時間を超える時間外労働を希望する人が0.5%に過ぎない点だ。さらに、1カ月あたりの時間外労働の妥当な時間について、93%の回答者が「45時間以下」と回答しており、労働基準法で定められた原則45時間という現行規制を支持する意見が圧倒的多数を占めている。

政治的な動向と労働者の意識の乖離

自民党は「上限規制によって働きたい人が働けていない」との認識のもと、昨夏の参院選公約で「働きたい改革」を明記していた。高市早苗首相も就任時に「労働時間規制の緩和検討」を指示していたが、今回の調査結果はこうした政治的な動きとは対照的な労働者の意識を示している。

調査結果は、労働者の大多数が現行の労働時間規制を妥当と考えていることを示唆している。労働時間を「このままでいい」とする回答が59.5%を占めたことは、働き方改革が一定の成果を上げている可能性を示している。

今後の課題と展望

今回の調査結果は、労働時間規制を巡る議論に新たな視点を提供するものとなった。経済的理由から労働時間増加を希望する層が一定数存在する一方で、過度な長時間労働を望む人はごく少数であることが明らかになった。

今後の働き方改革においては、労働者の多様なニーズに応えつつ、過労防止とワークライフバランスの確保を両立させる政策が求められる。調査結果は、単純な労働時間規制の緩和ではなく、労働環境の質的向上と経済的保障の充実が重要であることを示唆している。