大学時代の見守り活動が教師に影響、命の大切さを教える中川教諭
大学時代の見守り活動が教師に影響、命の大切さを教える

岡山市立操明小学校教諭の中川麻帆さん(24)は昨秋、担任する3年C組の児童に向かって「いざという時は、真っ先に逃げるんだよ」と語り掛けた。その背景には、2001年6月8日に大阪教育大学付属池田小学校(大阪府池田市)で発生した児童殺傷事件がある。8人の命が奪われたこの事件は、中川さんが生まれる約1か月後に起きた。彼女自身は直接の記憶を持たないが、「失われた命を無駄にしてはいけない」という強い思いを抱いている。

教師への道と転機

幼い頃から教師を志していた中川さんが事件を知ったのは、大学受験のためのネット検索がきっかけだった。しかし、当時は「自分が生まれた年だ」と感じる程度で、深く考えることはなかった。転機は関西学院大学(兵庫県西宮市)教育学部に進学後、2年生の時に藤木大三教授(67)の授業を受けたことだ。藤木教授は事件直後からゼミ生と共にキャンパス周辺で小学生の見守り活動を続けており、「あの事件で不安を感じていた子どもたちのために、何かをせずにはいられなかった」と語った。その言葉に心を動かされた中川さんは、活動に参加するようになった。

見守り活動の実践

午前8時前から通学路に立ち、登校する児童に「おはよう」と声を掛ける。眠い日もあったが、「麻帆お姉ちゃん、ありがとう」と言ってくれる子どもたちとの交流を通じて「コミュニケーションの温かさを実感した」という。3年生から藤木ゼミに入り、多い時で週3回、卒業まで活動を続けた。

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教師としての決意

故郷の岡山で教師になって2年目の昨夏、学校で不審者対応訓練に参加した。模造の刃物を手に暴れる不審者役の前で立ちすくみ、「訓練なのに、恐怖で何もできなかった」と痛感。この経験が、3年C組で事件について話す決意に繋がった。自分の命を守る行動を取れるようになってほしい、そして「私自身も万一の時に何ができるかを改めて考えるきっかけにしたかった」と語る。

話した後、自身の変化を感じ取っている。犠牲になった8人と同じ年頃の児童を預かる責任感が心の中で強まったという。藤木教授らの見守り活動は今年で25年を迎え、参加学生は500人を超える。中川さんは「私もその一人としてバトンをつなげて、ちょっぴり誇りです」と語り、事件を身近に考えるきっかけを得たことを財産としている。

今後の展望

特別支援学級を担当する今年は、どう伝えるかまだ決めていない。しかし、「子どもを守るには、地域も含めて人同士のつながりを強めることが大切だと思う。そうできるように、私なりに出来ることを探していく」と誓う。6月8日は、その誓いを新たにする日だ。

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