日光いろは坂の渋滞対策、昨年紅葉シーズンの効果は限定的 午前は2時間短縮も午後は例年並み
栃木県は、昨年の紅葉シーズンに日光地域で実施した渋滞対策の結果を公表しました。特に混雑が顕著な「いろは坂」では、明智平県営駐車場を閉鎖する社会実験が行われました。その結果、ピーク日の午前中はバスの通過時間が約2時間短縮された一方で、午後は例年通りの渋滞が発生し、全体では41分の短縮にとどまったことが明らかになりました。
社会実験の詳細と実施背景
いろは坂は、日光市街から中禅寺湖や華厳の滝へ向かう唯一のルートであり、約9.5キロにわたるつづら折りの山道です。県は昨年11月1日から3日までの3連休に、上り方向の第2いろは坂で社会実験を実施しました。ヘアピンカーブの内側にある県営駐車場への左折入場待ち車両をなくすことで、片側2車線の左側車線を通行用に確保する試みでした。
この場所は、カーブの外側に明智平ロープウェイ駐車場があり、右側車線も右折入場待ちの車列が形成され、渋滞の発生ポイントとなっていました。駐車場の閉鎖により、左折待ちの車両がなくなり、一時的な交通の流れ改善が期待されました。
渋滞対策の具体的な効果と課題
駐車場閉鎖の結果、いろは坂入り口の馬返から終着点の中禅寺温泉までのバス所要時間(通常25分)は、ピーク日となった11月2日の午前中に平均53分を記録しました。これは前年のピーク日と比較して115分の短縮となり、大きな改善が見られました。
しかし、2日全体の平均所要時間は127分であり、午後はほぼ例年並みの渋滞が発生しました。午前中のスムーズな通過により、坂を上った先の中禅寺湖畔や華厳の滝の駐車場が満車となり、入場待ちの渋滞が発生し、それがいろは坂まで連鎖したとみられています。
一方、いろは坂入り口から約8キロ離れた日光東照宮などの世界遺産エリアの渋滞は約2.3キロに及び、入り込みの目安となる日光宇都宮道路の交通量はピーク日で1日5万2719台となり、いずれも例年並みの水準でした。
県の分析と今後の対策方針
栃木県交通政策課は、「発生場所が変わっても激しい渋滞が形成され、車の総数自体を減らす必要があることを改めて確認できた」と指摘しています。社会実験と並行して、県は混雑日を避ける「オフピーク観光」の呼びかけも行ってきました。
利用者アンケートでは、県民来訪者の減少に効果が見られるものの、約6割を占める東京圏からの来訪者への訴求が課題となっています。同課は、「3連休を外せば比較的快適に観光できることのほか、公共交通機関の利用も含めた発信強化策を検討したい」としています。
今回の結果は、渋滞対策が一部で効果を発揮したものの、根本的な解決には至っていないことを示しています。車両総数の削減や観光客の分散化が、今後の重要な課題として浮き彫りになりました。



