同居でも会話15分未満「家庭内孤立」、独居より心の健康不良
同居でも会話15分未満「家庭内孤立」、独居より心の健康不良

家族と同居しているからといって、精神的に健康とは限らない。東京都健康長寿医療センター研究所の研究チームが行った調査で、家庭内で孤立している人は、主観的健康感、うつ状態、ウェルビーイング(幸福感)、孤独感のいずれも悪く、独居者と比較しても不良な傾向が確認された。

家庭内孤立とは

社会的孤立は様々な心身の病気と関連することが知られているが、従来の研究では独居や家庭外とのつながりの少なさに注目が集まり、同居家族との関係にはあまり焦点が当てられてこなかった。そこで研究チームは、同居者がいるが家族との会話時間が1日15分未満で、家の中で一人で過ごすことが多い人を「家庭内孤立」と定義した。

調査概要

調査は2023年、東京近郊の埼玉県和光市に住む40歳以上の8824人(男性44.7%、平均70歳、要介護3~5を除く)を対象に実施。国際的な指標を用いて主観的健康感、うつ状態、ウェルビーイング、孤独感を尋ね、家庭内孤立との関係を分析した。

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結果

家庭内孤立に該当する人は全体の4.7%(同居者の5.8%)で、年代が高いほど、また女性より男性で割合が高い傾向が見られた。性別、年齢、婚姻状態、居住年数、就労状況、喫煙・飲酒・運動などの生活習慣、持病、近所付き合いや地域活動の影響を除去した分析の結果、家庭内孤立の人は非孤立者に比べ、主観的健康が低い割合が1.33倍、うつ状態の疑いが1.48倍、ウェルビーイングの低い割合が1.56倍で、孤独感も高かった。独居者と比較しても、家庭内孤立の人は1.2~1.29倍のリスクを示し、孤独感も高く、精神的健康が不良であることが明らかになった。

専門家の見解

批評家の杉田俊介氏は「近年、男性の孤独の問題が注目されている。トーマス・ジョイナー『男はなぜ孤独死するのか』によれば、男性は女性に比べて自殺率が高く、その大きな要因として孤独感がある」と指摘する。また、シニア生活文化研究所代表理事の小谷みどり氏は「同居する人がいるのに会話が少ないことは、独居よりも孤独感が強いと想像できる。私の周りでも、平日は家族と食事をせず、家族が寝静まってから帰宅する男性が多く、それが日常化すると、子どもが巣立ち定年退職した後に孤立が深刻化する」と述べている。

今後の課題

研究チームは、家庭内孤立の予防には家庭外で安心してつながれる場の提供が重要だと指摘。特に65歳以上の高齢男性では家庭内孤立のリスクが高く、地域活動や趣味のサークルなど、家族以外との交流機会を増やす支援が必要とされる。

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