青森市で初の緊急代執行実施 豪雪で倒壊危機の空き家を解体
青森市初の緊急代執行 豪雪で危険空き家を解体

青森市で初めての緊急代執行が実施 豪雪で危険空き家を解体へ

青森市は2026年2月16日、積雪により倒壊の危険性が極めて高く、隣家や周辺道路に被害を及ぼす可能性があるとして、空き家対策特別措置法(空き家法)に基づく緊急代執行を実施し、同市茶屋町にある空き家の解体作業を開始しました。 同市において緊急代執行が行われるのは今回が初めての事例となります。

解体直前の崩落で緊急性が明らかに

この空き家は、青森駅から東へ約2キロ、青森市役所にも近い市街地の住宅街に位置する、50年前に建築された木造2階建ての一軒家です。2日前までは建物の形状は保たれていましたが、屋根に積もった雪の重みが原因と見られる形で、解体作業の直前となる15日から16日朝にかけて、2階部分が一部崩れ落ちました。

崩落により建材が道路に散乱し、雪の上にはタンスが落下するなど、建物の崩壊が一気に進行しました。14日時点では、降り積もった雪の重みで屋根の中央部分がへこみ、今にも崩れ落ちそうな状態でした。2階の窓はひしゃげて鉄枠が外にぶら下がり、ガラスも周囲に散乱するなど、既に一部で崩壊が進んでいたのです。隣家との間隔はわずか2メートルしかなく、倒壊時の危険性が非常に高い状況でした。

長年の経緯と緊急代執行の決定

青森市がこの家が空き家状態であることを確認したのは2013年10月で、近隣住民からの通報がきっかけでした。その後、同市は2022年3月に特定空き家に認定し、所有者に対して建物の除去を求める勧告などを複数回にわたり行ってきました。しかし、所有者が応じなかったため、通常の行政代執行から一部の手続きを省略する形で行われる緊急代執行に踏み切ったのです。

緊急代執行は2023年に改正された空き家法に基づく措置で、災害や緊急性が認められる場合に実施されます。 今回の解体費用は数百万円と見込まれており、青森市は所有者に対して請求を行う方針です。同市によると、市内にはこの空き家を含めて16件の特定空き家が存在しています。

記録的な豪雪が背景に

青森市は今冬、2月上旬に平年の2倍を超える180センチ以上の積雪を記録するなど、記録的な豪雪に見舞われました。一時は自衛隊の災害派遣部隊が出動する事態となり、県豪雪対策本部によると、13日時点で雪害により8人が死亡、199人が負傷しています。このような異常気象が、空き家の倒壊リスクを急速に高める要因となったのです。

緊急代執行の実施は、地域社会の安全を守るための迅速な対応として評価される一方、空き家問題の深刻さを浮き彫りにしました。所有者の対応が遅れた結果、行政が緊急措置に乗り出さざるを得なかった背景には、高齢化や相続問題など、社会全体が抱える課題が反映されています。