介護タクシーや民間救急車、搬送業者6割が災害時の出動に前向き 救急車不足解消に期待
2026年6月5日 05時10分 (6月5日 05時10分更新)
介護タクシーや民間救急車の事業を運営する全国の搬送業者629社のうち、約6割が災害時の出動に前向きな意思を示していることが、一般社団法人「日本搬送学会」(愛知県長久手市)の調査で明らかになった。民間事業者が災害時に活動できる体制整備が進めば、南海トラフ巨大地震など大規模災害時に想定される救急車不足を補う手段として期待が寄せられている。
消防の救急車が緊急性の高い傷病者の搬送を担うのに対し、民間救急車は通院や入退院、転院などの搬送を手掛ける。介護タクシーは高齢者や障害者、病気を患った人々の移動を支援する。搬送学会は今年4月から5月にかけて、全国の事業者に29項目のアンケートを実施し、46都道府県の事業者から回答を得た。
災害時に被災地から届く負傷者の搬送依頼に協力する意思が「ある」と回答したのは、回答事業者の63.3%に当たる398社だった。一方、過去の災害現場で支援経験があるのは28社(4.5%)にとどまった。
また、「動けない」「迷う」と回答したのは計231社。理由を尋ねると、「通常営業に支障が出る」が最多の67.5%だったほか、「現地の情報の把握が困難」「保障が制度化されていない」といった回答があった。支援したくても実際に活動できる仕組みが不足しているという課題が浮き彫りになった。
搬送学会によると、2024年の能登半島地震では民間の搬送車が緊急車両として認められず、活動に制限があった。鎌倉安男専務理事は「平時から救急車と民間による分担搬送ができれば、利便性が高まる。民間の多くは個人事業主でネットワーク化されておらず、受け入れ態勢や業界団体の整備が必要だ」と述べた。
搬送学会は、医療や福祉関係者、民間搬送事業者らが2023年に設立。救急搬送件数の増加や災害時の対応といった搬送を巡る課題の解決を目指している。(伊勢村優樹)
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