厳しく冷え込んだ冬の夜、熊本市中心部の商業施設屋上で、一人の中学3年生の男子生徒が大勢の中学生に取り囲まれていた。1月6日の出来事である。
相手の少年から全身を殴られ、蹴られ、「死ね」とはやし立てる声が周囲から上がった。血だらけで帰宅した息子の顔を見た母親(51)は目を疑い、すぐに救急車で病院へ搬送。診断結果は2週間のけがだった。母親によれば、暴行の発端は互いの知人間のトラブルにあったという。
母親が語る復讐の決意
3月、記者が母親に会い、話を聞く機会を得た。彼女は「復讐」の経緯を詳細に語り始めた。暴行の翌日、母親は加害生徒らのインスタグラムの投稿を丹念にたどった。彼らが過去にも同様の暴行を繰り返していた情報を得た母親は、警察に頼ることはできないと感じ、自らの力で全員を特定する決意を固めた。
息子は退院後も眠れない日々が続き、母親の「彼らを苦しめたい」という思いは日増しに強くなっていった。彼女は暴行の様子を映した動画をインスタグラムに投稿。これがSNS上で拡散されるきっかけとなる。
SNSで加速する同調と暴露
記事の後半では、同年代の子を持つ母親を名乗る複数のアカウントが「許せない」と同調し、暴露系アカウント「DEATHDOL NOTE」に通報することで状況が一変する様子が描かれている。このアカウントが介入したことで、加害者とされる少年たちの氏名や住所が拡散され、事態は新たな局面を迎えた。
SNS上では「正義」を掲げる声が過熱し、復讐の連鎖が加速する。しかし、その先に待つものは果たして本当の正義なのか。本稿では、SNS時代に浮かび上がる「正義」の複雑な実像に迫る。



