新生児取り違え問題、都は新たな調査を拒否
1958年に東京都立墨田産院(閉院)で生まれた江蔵智さん(68)が別の新生児と取り違えられた問題で、東京都は11日、生みの親に関する新たな調査を行わない方針を江蔵さん側に伝えました。江蔵さん側は、戸別訪問などによる徹底調査を求める法的措置を取る方針を示しています。
これまでの経緯
江蔵さんは46歳のときに育ての親と血縁関係がないことが判明。東京地裁は昨年、都に対して生みの親を捜す調査を命じる判決を下しました。都は江蔵さんと同時期に同院で生まれた可能性がある人など計52人にDNA鑑定への協力を求める文書を郵送しましたが、今年3月、取り違え相手を見つけられなかったとする調査結果を公表しました。
男性側の主張
江蔵さん側は、都に対し戸別訪問による新たな調査や、別の病院で生まれた人も調査対象に加えるよう要請していました。江蔵さんは取材に対し、「都からは生みの親を捜す熱意を全く感じない。一軒ずつ丁寧に説明し、戸別訪問をすれば生みの親を捜せるのではないか」と述べ、判決の完全履行を求めて東京地裁に申し立てる意向を明らかにしました。
都の見解
都の担当者は「調査対象者に対する心情には十分な配慮が必要だ。判決文を読んでも、都に戸別訪問までの義務があるとは考えていない」と説明しています。
墨田産院新生児取り違え問題の経緯
- 1958年4月:東京都立墨田産院で江蔵智さんが生まれる。
- 1988年3月:墨田産院が閉院。
- 2004年5月:DNA鑑定で育ての親と血縁関係がないことが判明。
- 2004年10月:取り違えによる損害賠償を求めて都を提訴。
- 2005年5月:東京地裁が取り違えを認定するも賠償は認めない判決。
- 2006年10月:東京高裁が2000万円の賠償を命じる判決。
- 2021年11月:生みの親の調査を求めて都を提訴。
- 2025年4月:東京地裁が都に調査を命じる判決。都は控訴せず確定。
- 2026年3月:取り違えた相手は確認できなかったとする調査報告書を都が公表。
江蔵さんは現在も生みの親を捜し続けており、今後の法的措置の行方が注目されます。



