データセンター建設で対話促進ガイドライン、東京都と江東区が策定も「法制度が必要」の声
データセンター建設ガイドライン、都と江東区策定も法制度求める声

人工知能(AI)などの情報処理を担うデータセンター(DC)を巡り、最大需要地である東京都は、事業者と住民の対話を促進するためのガイドラインを策定した。江東区でも同様の動きが見られる。いずれも「紛争回避」が主な目的だが、問題の本質を捉えているのか疑問視する声も上がっている。

住民が抗議「住宅地の隣に造るのは異常」

東京都日野市の日野自動車工場跡地で計画されるDC建設事業に関して、今月25日、同市内で抗議活動が行われた。中心となったのは、計画に反発する市民団体「巨大データセンターから住民の暮らしと環境を守る市民の会」だ。山崎康夫共同代表(69)らは「DC建設が、住民との合意がないまま強行されようとしている。住宅地の隣に造るのは異常なことだ」と声を振り絞った。

住民側はこのDC計画について、電力消費量やサーバーを冷却する空調機器からの排熱量などの情報公開を求めてきたが、事業者の三井不動産からの回答がない状況が続いている。

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住宅密集地などでのDC建設に関しては、日野市だけでなく、首都圏の各地で事業者と住民の対立が激化している。そんな中、東京都は3月末、DC整備を推進する立場から「まちと調和したデータセンターに向けたガイドライン」を策定した。

「DCは今後、重要な社会インフラ」

このガイドラインでは、建築物としてのDCに適用される法令を説明するほか、住民との円滑な対話を実現するため、事業者が計画の構想段階から対象地域の住民とのコミュニケーションを深めるよう求めている。

都の都市整備局の担当者は「DCは今後、重要な社会インフラになっていく。まちづくりと整合した形で進めていくためのガイドラインが必要だ」と訴えている。

一方で江東区は3月中旬、区民向けに「大規模データセンター建設計画における話し合いガイドライン」を公表した。このガイドラインでは、事業者と接する際に重要となるタイミングとして、建設計画を把握する時、説明会や戸別訪問で説明を聞く時、意見や要望を伝えて話し合う時を紹介。環境影響や生活面への影響などを詳細に確認することが大事だとしている。

区の担当者はガイドラインを取りまとめた理由について「(立地に関する)法規制ができない中、不安の解消に向けては対話しかない」と語る。

専門家「包括的な法制度が必要になる」

こうしたガイドラインに厳しい視線を向ける人もいる。その一人が日野市環境審議会の伊瀬洋昭審議委員だ。首都圏の住民や有識者が中心となって結成された団体「都市型データセンターあり方検討会」で事務局を担う。今月5日に江東区で開かれたDCに関する学習会では「法整備がないことを理由に行政が本来なすべきことを回避する傾向が否めない」と批判した。

国による規制がない中、DCの立地に抑制的な政策をとった自治体もある。京都府精華町は関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)の中核をなし、既にDCが複数存在する一方、2024年9月には町としての対応方針を公表。新たなDCの誘致は原則行わず、「まちづくりへの大きな貢献が期待される」DCのみ例外的に誘致できるとした。

町の担当者は、DCが電力を大量消費するほか、非常用発電機の設置などで環境への影響が懸念されると指摘。「地元の雇用を生まず、施設の機密性から他企業との交流も難しい」と問題点を率直に示す。

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行政法や環境法などが専門の小島延夫弁護士は、DCの立地に関して「(住民との)協議が整えばそれでよいのか。誰かに迷惑をかけても土地を自由に使えるということではない」と訴える。都市計画や環境面への影響は無視できないとし、「包括的な法制度が必要になってくるだろう」と提言している。