アスベスト(石綿)関連工場の被害をめぐり、賠償請求権が20年で消滅する「除斥」の起算点をめぐって争われた訴訟の判決が24日、神戸地裁(島戸真裁判長)で言い渡された。判決は、起算点は男性が死亡した時点とし、請求権は残っていると判断。国側の主張を退け、被害者側に1430万円を賠償するよう国に命じた。
最高裁が2014年に国の責任認定
石綿被害をめぐっては、2014年に最高裁が国の責任を認定。1958年から1971年にかけて石綿工場で被害を受けた人を対象に、国は裁判の和解手続きで賠償金を支払ってきた経緯がある。
原告は中皮腫で死亡した男性の遺族
この訴訟の原告は、中皮腫を発症して死亡した男性の遺族で、2022年11月3日に国を提訴。判決によると、男性は国が責任を負う期間中に勤務先の鉄工所で石綿の切断作業などに従事し、2002年7月に中皮腫と診断され、同年11月6日に死亡した。
国は、発症した2002年6月が起算点であり、請求権は消滅していると主張していた。しかし、島戸裁判長は「発症から20年後に死亡した場合、死亡時点で既に請求権が消滅することになり、生前に死亡前提の主張を強いるのは、あまりに酷で、正義、公平の理念に反する」と指摘し、国の主張を退けた。
この判決は、石綿被害における除斥期間の解釈に一石を投じるものとして注目される。被害者側は、発症から長期間経過した後に死亡したケースでも、遺族が適切に賠償請求できる道を開いた形だ。



