山梨県、医師不足解消プログラムの違約金条項を撤廃 訴訟受け制度見直し
山梨県、医師不足解消プログラムの違約金条項撤廃

山梨県は4日、大学医学部に通う学生に修学資金を貸与し、卒業後に県内医療機関で一定期間勤務することを条件とする制度について、勤務しなかった場合に違約金を求める条項を撤廃する方針を明らかにした。これまで規定された期間勤務すれば返済が免除される仕組みだったが、途中で辞めた場合には、就業期間に応じて返還額を減額する形に改める。

制度の背景と見直しの経緯

この制度は、山梨県が深刻な医師不足の解消を目的に2019年に開始した「地域枠等医師キャリア形成プログラム」である。山梨大学などの医学部に地域枠で入学した学生に対し、県が修学資金を提供し、医師免許取得後の15年間のうち9年間を指定された県内の医療機関で勤務すれば返済が免除される仕組みだった。

しかし、途中でプログラムを離脱した場合には、修学資金の一括返済に加え、年10%の利息、さらに最大約842万円の違約金を求める条項が設けられていた。この違約金条項が違法であるとして、適格消費者団体「消費者機構日本」が県に対して条項の削除を求める訴訟を提起。2026年1月の甲府地方裁判所の一審判決では、条項の差し止めが認められた。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

判決後、長崎知事は「上級審で徹底的に議論したい」と述べ、県は2月に東京高等裁判所へ控訴していた。しかし、一転して条項撤廃を決断したことについて、長崎知事は「裁判での問題意識を踏まえ、本来の質の高い医師をしっかり確保する観点から制度の在り方を見直した」と説明した。

見直しの具体的内容

4日の定例記者会見で、長崎知事は違約金条項の撤廃を正式に表明。年10%の利息は残るものの、修学資金の返済については、実際に働いた期間に応じて減額することを説明した。減額の割合については今後、協議を進めるという。

また、これまで国公私立とも月額13万円としていた貸与額についても、国公立は20万円、私立は25万円に引き上げる方針も同時に発表された。これにより、学生の経済的負担を軽減し、より多くの医学生がプログラムに参加しやすくなると期待される。

今後の訴訟対応

訴訟の方針については、長崎知事は「弁護士と相談したい」と述べ、今後の対応を検討する考えを示した。県は、違約金条項の撤廃によって制度の信頼性を高め、医師確保につなげたいとしている。

本件は、医師不足対策と学生の権利保護のバランスが問われる事例として注目されている。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ