16歳だった実の娘に性的暴行を加えたとして準強姦の罪に問われた大門広治被告(54)の控訴審判決が21日、名古屋高裁金沢支部(増田啓祐裁判長)で言い渡された。一審・富山地裁の懲役8年という求刑通りの判決を維持し、被告側の控訴を棄却した。
事件の経緯と判決内容
判決によると、被告は娘の福山里帆さん(26)が中学生の頃から性的虐待を繰り返し、抵抗が難しい状態にあった2016年8月、富山県黒部市の自宅で性交を強いたとされる。被告側は控訴審で、福山さんの抵抗が著しく困難な状況であるとの認識はなかったと主張した。しかし増田裁判長は、家族の生活が被告の収入に依存し、大学進学を希望していた福山さんが性交の求めに応じざるを得ないことを被告は認識していたと指摘。「一審の判決の認定に誤りはない」と判断した。また、被告は控訴審で謝罪の言葉を述べたものの、不合理な弁解を維持しているとして「量刑を見直す余地はない」と結論づけた。
被害者の思いと今後の展望
「父には私の気持ちは届いていなかった。今回も裁判所が私の言ったことを認めてくれて安心した」。被害者の福山里帆さん(26)は判決後、金沢市内で記者会見を開き、安堵の表情を浮かべた。福山さんは2024年3月に実名と顔を出し、実父からの性被害を公表していた。被告側の控訴趣意書が届いた際には不安もあったが、今回の判決で司法が被害者の訴えを真摯に受け止めたことに感謝の意を示した。今後は自身の経験を生かし、同じような被害に遭う人々を支援する活動にも力を入れたいと語った。
本件は、家庭内での性暴力の実態と、被害者が声を上げることの重要性を改めて社会に問いかけるものとなった。裁判所の判断は、被害者の証言の信用性を認め、家族間の権力関係を考慮した点で意義深い。



