東京高裁から解散を命じられた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)について、清算人を務める伊藤尚弁護士は、教団の預貯金のうち少なくとも約400億円を保全したことを明らかにした。これは高額献金の被害者らへの弁済に向けた措置で、5月20日から1年間、被害申告を受け付ける予定だ。
資産保全と今後の対応
清算人は東京地裁に今月20日付で提出した報告書で詳細を公表。3月4日の東京高裁による解散命令決定を受け、清算人が選んだ代理人ら約400人が全国400カ所以上の教団施設を訪問し、資産の保全作業を実施した。金融機関には教団の口座取引の一時停止を要請し、預貯金を確保したという。
高裁決定によると、2024年度末時点で教団の総資産は1040億円で、このうち現預金は668億円に上る。教団は約200の不動産を所有しており、清算人は遊休不動産を優先的に売却する方針を示した。全国9カ所の墓地や霊園については、埋葬や納骨は引き続き受け付けるが、慰霊祭などの行事は行わないとしている。
職員解雇と退職金問題
教団職員約1400人(4月20日時点)のうち、清算手続きに必要な担当者を除く900人に対し、5月20日付で解雇する予告が通知された。教団は今年に入り、職員に早期退職を募り、対象者に割り増し退職金を支払う計画だったが、清算人は「解散が確定した場合に備えたものだ」と指摘し、割り増し支給を認めない判断を示した。
教団側は高裁決定を不服として最高裁に特別抗告しているが、解散の効力は既に発生している。解散により宗教法人格は失われており、教団元幹部らは職員を雇用し、献金の受け皿となる新たな団体の設立を検討している。



