ゴマフアザラシ「みずき」の全身麻酔による抜歯治療が成功 秋田の水族館で前例ない手術
アザラシ「みずき」全身麻酔で抜歯成功 秋田の水族館

ゴマフアザラシ「みずき」の全身麻酔による抜歯手術が成功 秋田の水族館で前例ない治療

秋田県男鹿市の男鹿水族館GAOは、歯の一部が折れて炎症を繰り返していたゴマフアザラシ「みずき」(メス・17歳)に対し、全身麻酔をかけて歯を抜く歯科治療を初めて実施しました。この治療は全国的にも珍しい事例であり、手術後の経過は良好で、みずきは食欲旺盛に回復しているとのことです。

折れた犬歯が原因で繰り返す炎症

みずきは2020年1月、あごの犬歯が折れているのが発見されました。患部から細菌が入り込むことで頬が腫れるなど、たびたび炎症を起こしていました。同館の獣医師である大野晃治さん(43)は、「他のアザラシとの喧嘩や、展示室にある人工の岩などをかじったことが原因で折れたのではないか」と推察しています。腫れが生じるたびに抗菌剤を投与していましたが、健康な歯に菌が広がるのを防ぐため、抜歯を検討してきました。

全身麻酔に伴う命の危険と細心の注意

しかし、ゴマフアザラシに対する全身麻酔は命を危険にさらすリスクがありました。アザラシは水に潜る際に心拍数が低下し、しばらく呼吸を止めるという特徴があります。麻酔をかけると、この潜水時と似た無呼吸状態が長く続く恐れがあり、細心の注意が必要でした。そのため、同館は全身麻酔を使ったアザラシの歯科治療の経験がなく、慎重な判断が求められました。

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専門家の助言と獣医師チームの結集

同館は、以前に獣医師を務め、動物の歯科治療に詳しい宮城県富谷市の「ぽらべあ動物病院」の中田朋孝院長に助言を求め、治療を決断しました。2026年2月12日に行われた治療では、秋田市の大森山動物園や仙台市の仙台うみの杜水族館など、近隣の動物園・水族館から獣医師6人を含む合計10人が集合しました。手術は中田院長が執刀し、大野さんらは麻酔の濃度調整や体温、心拍数の観察を担当し、約1時間半で無事に終了しました。折れた犬歯のほか、ぐらついていた前歯1本も抜かれました。

手術成功の意義と今後の展望

大野さんは、「今回の前例ができたことで、歯以外の治療でも全身麻酔の処置を判断しやすくなりました。工夫しながら動物たちの健康を守っていることを、来館者に知ってもらえれば嬉しいです」と語りました。みずきは現在、アザラシの展示室に隣接する飼育室で過ごしており、広報担当者は「歯磨きやエサやりの時間に、治療の跡が見られるかもしれません」と話しています。この成功は、動物医療の新たな可能性を広げる一歩となりました。

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