高市首相の施政方針演説、経済中心に安保・改憲も透ける政権の狙い
2026年2月20日、高市早苗首相は衆議院本会議で施政方針演説に臨んだ。「高市1強」と称される国会情勢のなか、首相は「責任ある積極財政」を軸とした経済政策を中心に語り、今後の政権運営の方向性を鮮明に示した。
与党議員の熱狂と経済政策の強調
議場の3分の2以上の議席を占める自民党議員らは、高揚感に包まれた。首相が演説の冒頭で衆院選圧勝を振り返り、「国民から力強く背中を押して頂けた」と述べると、自民議員らから「そうだ!」との大合唱が響いた。首相は自民公約と連立政権合意書の政策実現に言及し、「その重い責任を必ずや果たす」と強調すると、大きな拍手が沸き起こった。
首相は選挙翌日の記者会見で「重要な政策転換」と位置付けた3本柱――財政規律に配慮しつつ財政出動をする「責任ある積極財政」、安全保障政策の抜本的強化、インテリジェンス機能強化――のうち、20日の演説では「責任ある積極財政」に多くの時間を割いて説明した。物価高問題が国民の最大の懸案となるなか、経済政策を強調することで広範な支持を得る狙いがあるとみられる。
参院の過半数割れをにらんだ慎重な姿勢
一方で、首相には「与党が過半数割れの参院を考慮せざるをえない」という事情もある。実際、18日の首相指名選挙では参院で首相の得票が過半数に満たず、決選投票までもつれた経緯がある。首相は第2次内閣発足直後の記者会見で「私が大きな権力、白紙委任状を得たという方もいるが、そのようなつもりは全くない」と謙虚な姿勢を強調。新年度予算の早期成立に向けた与野党の日程交渉が進むなか、演説でも「数の力」を示すような姿勢を控えたとみられる。
このため、演説では自身の保守色が強い政策である「日本国国章損壊罪」や夫婦同姓を前提とした旧姓の通称使用拡大には触れなかった。政権幹部は、安保政策や憲法改正への言及も控えめだったと指摘するが、今後の政権運営ではこれらの課題にも着手する可能性が透けて見える。
安倍元首相の手法との類似性と今後の展望
首相の手法は、「後継」を自任する安倍晋三元首相とも重なる部分がある。安倍氏は経済政策「アベノミクス」を掲げつつ、安全保障法制などの「国論二分」の政策実現を図る政権運営を行った。高市首相も経済政策を前面に押し出しつつ、将来的に安保・改憲などの重要課題に取り組む構えを伺わせる。
演説では、裁量労働制の見直しや国家情報局の設置にも言及し、政策実現への意欲を示した。しかし、参院の勢力をにらみ、慎重な姿勢を崩さない部分も目立った。今後の国会審議では、与野党の駆け引きがさらに活発化することが予想される。
高市首相の施政方針演説は、経済中心のメッセージを発信しつつ、政権の長期的な狙いをにじませる内容となった。今後の政治動向に注目が集まる。



