トランプ関税、中国への影響限定的 米シンクタンク試算
トランプ関税、中国への影響限定的 米シンクタンク試算

トランプ前米大統領が導入した対中関税について、米シンクタンク「ピーターソン国際経済研究所」は29日、中国経済への影響は限定的だったとする試算を発表した。関税引き上げにもかかわらず、中国の輸出は堅調に推移しており、貿易摩擦の実効性に疑問を投げかける内容となっている。

試算の概要

同研究所の試算によると、トランプ関税によって中国の米国向け輸出は約16%減少したものの、中国の世界全体への輸出は同期間に約5%増加。関税の影響は主に貿易転換をもたらし、中国製品が東南アジアなど他地域に流れたと分析している。また、中国国内の付加価値ベースでは、関税によるGDP押し下げ効果は0.3%未満と小幅にとどまった。

中国経済への影響

試算では、中国の輸出企業は生産拠点をベトナムやメキシコなどに移すことで関税を回避。結果的に中国の輸出全体は減少せず、むしろサプライチェーンの再編が進んだという。また、中国の対米貿易黒字は縮小したが、第三国経由の迂回輸出が増加した可能性が高いと指摘している。

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さらに、中国の技術分野への影響も限定的で、半導体や電子機器などのハイテク産業では、米国の輸出規制が関税よりも大きな打撃を与えたと分析。関税だけでは中国の製造業の競争力を削ぐには不十分だったと結論づけている。

米国経済への影響

一方、米国経済への影響については、関税によって消費者物価が上昇し、米国の実質GDPを0.2%程度押し下げたと試算。特に家電製品や衣料品など中国からの輸入依存度が高い分野で価格上昇が顕著だった。また、関税収入は年間約800億ドルに上ったが、米国企業や消費者が負担したコストの一部を相殺したにすぎないとしている。

今後の展望

同研究所は、トランプ関税の効果が限定的だったことから、今後の米中貿易摩擦では、関税よりも技術規制や投資制限など、より直接的な措置が重要になると予測。バイデン政権も半導体やAI分野での輸出管理を強化しており、関税以外の手段が焦点となっている。

また、中国側も対抗措置として米国製品への関税を引き上げたが、米国からの輸入が急減したわけではなく、両国の貿易依存関係は依然として強いと指摘。完全なデカップリング(切り離し)は現実的ではないとの見解を示している。

今回の試算は、トランプ関税が中国経済に与えた打撃は限定的であり、むしろ米国自身の経済に悪影響を及ぼした可能性を示唆している。今後の米中経済関係の行方を占う上で、注目される分析結果となっている。

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