米国のイラン攻撃を巡り、核拡散防止条約(NPT)再検討会議が紛糾している。ニューヨークで開かれている会議は29日、加盟国による非難合戦が繰り広げられ、NPT体制の亀裂が表面化した。米国はイランがNPTの義務を果たしていないと重ねて批判し、軍事行動を正当化。一方、中国とロシアは攻撃は国際法違反だとし、イランと共闘する姿勢を見せた。これにより、核軍縮の機運が後退している印象を与えている。
米国の主張とイランの反論
米国のヨー国務次官補(軍備管理・不拡散担当)は、イランが国際原子力機関(IAEA)による核施設への査察受け入れ義務に違反してきたと指摘。ウラン濃縮活動を加盟国に認められた権利とするイランの主張に対し、「濃縮の権利は存在しない」と強調した。これに先立ち演説したイランの代表は、米国とNPT非加盟のイスラエルが「侵略戦争」を仕掛け、「平和的核施設」を攻撃したと非難。「NPTが危機にひんしている」と訴えた。
中ロの立場と国際社会への影響
中国とロシアは、米国の攻撃は国際法違反であり、NPTの精神を損なうものだと強く非難。両国はイランとの連携を強化し、米国の一方的行動に対抗する姿勢を明確にした。専門家は、今回の紛糾がNPT体制の脆弱性を露呈し、今後の核軍縮交渉に悪影響を及ぼす可能性を指摘する。核兵器を保有する国々と非保有国の間の溝は深まり、軍縮への機運は一段と後退する恐れがある。
- 米国はイランのNPT違反を理由に軍事行動を正当化
- 中国とロシアは国際法違反として米国を非難
- イランは「侵略戦争」と主張し、NPTの危機を警告
会議は今後も続くが、意見の隔たりは大きく、実質的な進展は見込めないとの見方が強い。核不拡散体制の維持には、加盟国間の対話と協力が不可欠だが、現状ではその基盤が揺らいでいる。



