エア・ウォーター、6年間で営業利益209億円を水増し グループ37社で不適切会計
エア・ウォーター、6年で209億円水増し 37社で不適切会計

エア・ウォーター、6年間で営業利益209億円を水増し グループ37社で不適切会計

産業ガス大手のエア・ウォーターは2月13日、不適切な会計処理に関する調査結果を公表し、2019年度からの6年間にわたり、売上高667億円、営業利益209億円を水増ししていた事実を明らかにしました。本社とグループ会社を合わせた計37社で、在庫の過大計上や資産評価損の先送りなどの不適切な事案が確認されました。

経営陣の関与とガバナンスの欠如

外部の専門家らによる特別調査委員会の報告書によると、昨年12月に辞任した豊田喜久夫・前会長兼最高経営責任者(CEO)を含む経営陣の一部は、こうした不適切な事実を知りながら看過していたと指摘されています。原因として、豊田氏のトップダウンによる組織運営や、ガバナンス(企業統治)の実効性不足が挙げられています。

同社は3月にも関係者を処分する方針を示しており、企業統治の抜本的な見直しが迫られています。一連の問題は昨年7月以降に本社と子会社3社で判明していましたが、今回の調査で新たにグループ会社33社でも確認され、問題の広がりが浮き彫りになりました。

社長会見での謝罪と業績への影響

同日、大阪市内で記者会見した松林良祐社長は、「売上高1兆円を目指し、規模を拡大する中で、内部統制が働かなくなってしまっていた」と述べ、経営陣としての責任を認めました。この発言は、急成長を追求するあまり、コンプライアンス体制が後回しにされた実態を物語っています。

また、同社は同日、2025年9月中間連結決算を公表し、売上高は前年同期比2.4%増の5166億円となった一方で、最終利益は211億円の赤字(前年同期は171億円の黒字)に転落しました。この赤字は、海外事業の固定資産やのれんの減損を計上したことが主な要因とされていますが、不適切会計問題による信頼低下の影響も懸念されます。

今後の課題と再発防止策

エア・ウォーターは、今回の不適切会計問題を受けて、以下の点を中心に再発防止策を講じる必要があります:

  • ガバナンス体制の強化:経営陣の監視機能を高め、トップダウンによる独断的な運営を改める。
  • 内部統制の見直し:会計処理の透明性を確保し、定期的な監査を徹底する。
  • 企業文化の改革:規模拡大よりも健全な経営を優先する風土を醸成する。

この問題は、関西を拠点とする大企業におけるコンプライアンスの重要性を改めて問う事例となり、業界全体に波及する可能性も指摘されています。投資家や取引先からの信頼回復が急務となる中、同社の今後の対応が注目されます。