白河旭高生が自作電波望遠鏡で銀河系観測に成功、論文が天文月報に掲載
高校生が自作電波望遠鏡で銀河系観測、論文掲載

高校生が自作電波望遠鏡で銀河系観測に挑戦、論文掲載で成果を証明

福島県の白河旭高校で、生徒有志による画期的な天文学プロジェクトが成功を収めた。2年生の6人が電波望遠鏡を自作し、銀河系の観測実験を実施。その成果が論文にまとめられ、天文学の専門誌「天文月報」の3月号に掲載された。この取り組みは、教育現場における電波天文学の体験機会の少なさを背景に、高校生でも可能な科学実験として注目を集めている。

身近な道具で挑んだ手作り装置、約3万円の低コストで実現

プロジェクトは、根本靖彦教諭の「高校生でも電波天文学を体験したい」という企画から始まった。2024年夏から取り組みを開始し、電波天文学者の百瀬宗武氏と浅山信一郎氏の協力を得て、実験計画を考案。生徒たちは蓮見咲弥さん(16)、橋本真実さん(17)、菅野晃生さん(17)、菊地佑真さん(17)、小林優斗さん(17)、塚田涼雅さん(17)の6人で、当初は電波天文学に関する知識がなかったが、根本教諭の誘いで参加した。

装置の製作では、近隣の店舗で用具を購入し、金網4枚を連結して約80センチ四方のアンテナ反射面を作成。受信機材は雨から守るため、食品の密閉容器に収めるなど、創意工夫を凝らした。総製作費は約3万円と低コストに抑えられ、身近な道具を組み合わせることで、精度の高いデータ収集を可能にした。

屋上での実験で銀河系の電波地図を作成、論文にまとめる

実験は昨年8月から9月にかけて、同校の屋上で実施された。日時計を使って方角を調べ、アンテナの角度を日々調整しながら、宇宙から放出される中性水素21センチ輝線の電波データを約2週間分収集。百瀬氏と浅山氏がデータを解析し、銀河系の電波地図を作成した。

論文では、手作りの電波望遠鏡でも銀河系の観測が可能だったことを詳細にまとめ、根本教諭が中心となって作成。生徒たちは共同著者として名を連ね、天文学界に貢献した。電波天文学は、宇宙空間からの電波を受信して天体を研究する学問で、大型施設での研究が主流だが、教育現場での体験活動の普及が求められている。

生徒と教諭の喜びの声、今後の科学教育への期待

根本教諭は「高校生でも簡単な装置で高いレベルの実験ができた」と生徒たちを称賛。リーダーを務めた蓮見さんは「皆と試行錯誤を重ね、論文に名前が載って嬉しい」と喜びを語った。この成功は、若い世代の科学への関心を高め、教育現場での実践的な学習の重要性を再認識させる事例となった。

白河旭高校の取り組みは、限られた資源でも創意工夫次第で科学の扉を開けることを示しており、今後の天文学教育や地域の科学活動に影響を与える可能性が期待される。