オリオン宇宙船が地球帰還、極限の高温と重力負荷に挑む
有人月周回探査計画「アルテミス2」の一環として、米国とカナダの飛行士4人を乗せた宇宙船「オリオン」が、日本時間11日午前、地球への帰還を控えている。この帰還プロセスでは、大気圏再突入時に約2760度という極限の高温にさらされるほか、飛行士の全身には大きな力がかかるため、緊張感が高まる最後の難関となっている。
アポロ以来の月裏側飛行を終え、地球へ
オリオンは、アポロ計画以来約半世紀ぶりとなる月の裏側の飛行を成功裏に終え、現在地球へ向かっている。宇宙船は宇宙空間でエンジン部分を切り離し、日本時間11日午前8時50分過ぎに大気圏に再突入する予定だ。その後、米カリフォルニア沖への着水は同9時7分頃と見込まれている。
この再突入の間、宇宙船の速度は最大で秒速約11キロメートルに達し、温度は約2760度に上昇すると予測されている。これは、国際宇宙ステーションから帰還する宇宙船よりもはるかに過酷な条件であり、飛行士たちにとって重大な試練となる。
前回の教訓を活かした設計変更
2022年に実施された無人飛行「アルテミス1」では、再突入時に機体が大きく上昇して再降下する航法を採用したが、その結果、高温に長時間さらされて耐熱シールドが損傷する問題が発生した。今回のミッションでは、この教訓を踏まえ、温度を抑えるために宇宙船の上昇幅を小さくし、大気圏の通過時間を短縮する調整が行われている。
しかし、この変更により、急角度で降下するため飛行士にかかる力が強まるという新たな課題も生じている。想定される負荷は重力の3.9倍だが、軌道次第では最大7倍に達する可能性もある。米航空宇宙局(NASA)の担当者は記者会見で「極限の状態に耐える設計だ」と自信を示す一方、日本人飛行士の油井亀美也さんは「大きな危険を伴うフェーズだ」と指摘し、慎重な対応を呼びかけている。
パラシュートによる減速と安全性の確保
高度約10キロメートルからは、パラシュートを使用して減速が行われる。宇宙船に内蔵された導火線が自動着火し、形状が異なる4種類のパラシュートを順次広げる仕組みだ。NASAのパラシュート開発責任者であるジャレッド・ダウムさん(39)は、「30回以上の投下試験で安全性は確認済みだ。飛行士が無事に帰還することを願っている」と語り、信頼性の高さを強調した。
オリオンの帰還は、月探査の新たな時代を切り開く重要な一歩となる。飛行士たちの安全な着水が、今後の宇宙開発に大きな影響を与えることだろう。



