JCRファーマが開発した「バイオ医薬品を脳に届ける技術」が、全国発明表彰で文部科学大臣賞を受賞した。この技術は、脳の血管に存在する特殊なバリア「血液脳関門」を突破し、薬剤を脳内に直接送達することを可能にする。2021年には世界で初めて医薬品として承認され、難病治療に新たな希望をもたらしている。
発明のきっかけは患者の声
発明のきっかけは2005年、難病「ムコ多糖症」の患者家族の切実な願いだった。この疾患は幼少期から中枢神経を侵し、10代で命を落とすことも少なくない。当時入社3年目の薗田啓之氏は、「脳の中まで届く薬があれば」という患者の思いを実現するため、研究に奔走した。
トロイの木馬戦略で関門を突破
血液脳関門は脳を保護する重要な機構だが、薬剤の通過を阻む壁でもある。研究チームは「トロイの木馬」戦略を採用。特定の受容体に結合する分子を薬剤に付加することで、関門を通過させ、脳内に薬を届けることに成功した。
この技術は、ムコ多糖症だけでなく、アルツハイマー病やパーキンソン病など、他の脳疾患への応用も期待されている。JCRファーマは今後、適応拡大に向けた臨床試験を進める方針だ。
今回の受賞は、日本のバイオ医薬品技術の高さを世界に示す成果として注目される。患者の声から生まれたこの発明が、多くの難病患者に光をもたらすことが期待されている。



