損害保険各社が、人工知能(AI)を活用した自動車保険の事故対応を迅速化する実証実験を開始したことが、28日までに分かった。事故現場の画像をAIが分析し、損害額を自動算定するシステムや、チャットボットによる24時間対応の問い合わせ窓口を導入。保険金支払いまでの期間を従来より大幅に短縮することを目指す。
背景と目的
近年、自動車保険の事故対応において、人手不足や処理の煩雑さが課題となっていた。特に、事故発生から保険金支払いまでの期間が長引くケースが多く、顧客満足度の低下が懸念されていた。こうした背景を受け、損保各社はAI技術の導入による業務効率化と顧客サービスの向上を図る。
実証実験の概要
実証実験では、まず事故現場で撮影された車両の損傷画像をAIが解析。過去のデータベースと照合し、損害額を自動で算定する。これにより、従来は人間の査定員が行っていた作業を大幅に短縮できる。また、チャットボットは、事故発生時の連絡手順や必要書類の案内など、顧客からのよくある質問に自動応答。24時間対応が可能となる。
さらに、AIが事故の過失割合を推定する機能も試験的に導入。ドライブレコーダーの映像や現場の状況から、AIが客観的に分析することで、保険金支払いの公平性を高める狙いがある。
各社の動き
東京海上日動火災保険は、2026年6月から画像解析AIの実証実験を開始。全国の拠点で順次導入を進める。損害保険ジャパンは、既に一部の地域でチャットボットを試験運用しており、2026年度中に全面導入を目指す。また、三井住友海上火災保険は、AIによる過失割合推定システムを開発中で、2027年の実用化を目標に掲げている。
業界全体への影響
AI導入により、保険金支払いまでの期間は従来の半分以下に短縮される見込み。また、人的ミスの削減やコスト削減にもつながると期待されている。一方で、AIの判断に対する信頼性や、個人情報保護の観点から、慎重な運用が求められる。損保各社は、実証実験を通じて課題を洗い出し、本格導入に向けた体制を整える方針だ。
専門家は「AI活用は事故対応の効率化に大きく貢献するが、最終的な判断は人間が行うべきだ」と指摘。AIと人間の役割分担が重要になるとしている。



