午後五時二十分頃、稔が戻ってきた。日村は尋ねた。「どうだ?」「宝楽の大将に話を聞いてきました。どうやら、三橋さんは香苗のことを調べていたらしいです」「そう言えば、大将が香苗のことについて、何か言ってたな」そして、健一はそれを気にしていた様子だった。「三橋さんは、大将のところに、香苗のことを訊きに来たそうです」「大将は何をこたえたんだ?」「実は大将も、詳しいことは知らないようです。高校生がラーメンを食べに来て話をしているのを、ちらっと聞いただけだと……」「何を聞いたんだ?」「香苗の名前と、ハブとか無視とかいう言葉が聞こえたと言ってます。それから、孤立とか……」「それは、香苗がハブにされて、孤立しているということなのか?」「はっきりしたことはわかりません。ただ、大将は、もしかしたらそういうことじゃないかと心配している様子でした」「それを健一に伝えたのか?」「ハブ、無視、孤立という言葉は伝えたと言ってました」日村はテツに言った。「今の話は、手がかりになるか?」「調べてみます」テツはそれだけ言った。
この会話から、三橋が香苗の周囲で起きている問題を独自に調査していた可能性が浮上する。宝楽の大将は詳細を把握していないものの、高校生たちの会話から「ハブ」「無視」「孤立」といったキーワードを聞き取っていた。これらの言葉は、香苗が学校などで仲間外れにされ、孤立している状況を示唆している。日村はこの情報を手がかりに、テツにさらなる調査を指示した。テツは冷静に「調べてみます」とだけ答え、今後の展開に期待が持たれる。


