高知県、酒米の安定供給へ支援強化 米高騰で農家の食用米転換懸念
高知県、酒米安定供給へ支援強化 米高騰で転換懸念

高知県が酒米の安定供給に向けて支援を強化、米価高騰で農家の転換懸念

米の価格が高騰する中、高知県内で日本酒の原料となる酒米を生産する農家が、食用米の栽培に切り替える動きが懸念されている。県はこの状況に対応するため、2025年度に実施した蔵元の酒米購入を支援する事業を拡充し、支援額を増やす方針を打ち出した。これにより、生産者と蔵元の相互理解を深め、酒米の安定的な供給を目指す取り組みが本格化している。

米価高騰が酒米生産に影を落とす

県地産地消・外商課によると、酒米の安定供給を支援する事業は、2025年に食用米よりも生産技術を要する酒米の価格が、食用米の価格を下回ったことを受けて開始された。この価格差により、生産農家の栽培転換を防ぐことが急務となった。当初の支援では、1俵(60キロ)あたり4000円を上限に、2024年の酒米購入価格との差額を補助していた。

しかし、県環境農業推進課のデータによれば、酒米の栽培面積は2024年の123ヘクタールから2025年には109ヘクタールへと減少し、一部の農家が食用米への生産転換を選択したことが明らかになった。農家にとって、酒米は食用米よりも育てにくく、利益も低くなりがちなため、新たに酒米を生産するメリットが薄れている状況だ。

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支援事業の条件付き拡充で直接取引を促進

これまで、県内での酒米調達は、蔵元や県酒造組合が必要量を算出し、JA高知県が各農家に生産を依頼する間接的な構造が主流だった。農家と蔵元の直接のやりとりはほとんどなく、このことが酒米生産の継続性に課題を生んでいた。

この構造を変革するため、県は今年度の支援事業に新たな条件を付けた。県酒造組合や蔵元が農家から直接酒米を購入した場合、1俵あたり9000円を上限に、2024年の酒米購入価格の差額の半分を補助する。財源には国の重点支援地方交付金を充て、JA高知県は今後も仲介役として関与する予定だ。

条件付けの背景には、蔵元側と生産者らのつながりを強化し、高知の酒文化を支える酒米生産の意義を共有する狙いがある。意見交換や交流の機会を設けることで、互いの状況を理解し合い、農家に継続的な栽培を促すことが期待されている。

酒造組合の取り組みと将来への展望

県酒造組合の高木直之理事長(62)は、米の価格高騰が酒米にも及んでいることを指摘し、「高騰が続けば、低価格帯の普通酒まで値上げを余儀なくされ、消費者の酒離れは避けられない」と危惧する。その上で、「農家に安心して酒米を作り続けてもらうため、酒蔵ツアーなどを実施して理解を深めてもらう。後継者にも酒米を作ってもらえるように働きかけたい」と語った。

この取り組みは、単なる経済的支援にとどまらず、地域の伝統産業を守り、持続可能な農業を目指す重要な一歩となる。高知県の日本酒文化を未来へとつなぐため、生産者と蔵元の協力関係がさらに深まることが期待される。

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