ご飯の味わいを定義する「米飯評価用語体系」、120語で食感や外観を明確化
ご飯の味わいを定義する「米飯評価用語体系」

ご飯の味わいを言語化する「米飯評価用語体系」が誕生

「ふっくらしている」「粒立ちがよい」――。ご飯の見た目や食感を表現する言葉は数多く存在しますが、その状態が具体的にどのようなものか、わかりにくいことも少なくありません。このようなご飯にまつわる多様な表現を定義づけした「米飯のおいしさ評価用語体系」が、昨年、農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)と食品原料商社の伊藤忠食糧によって作成されました。この辞書は、消費者が自身の好みに合った米を選ぶ際の参考としても活用が期待されています。

多様化する米市場と評価の必要性

炊き立てのご飯について、「つやがあって、粒がそろっている」や「もっちり大粒でしっかりとした弾力」といった表現が、ブランド米の紹介ページなどで頻繁に用いられています。また、家庭用炊飯器にも「しゃっきり」や「ふっくら」などのモードが搭載され、食感に応じた炊き分けが可能となっています。

ご飯に関する表現に基準を設ける研究が始まったのは2021年のことです。背景には、米の品種の多様化に加え、外食や中食産業の発展があります。冷凍ご飯やパックご飯、おにぎり、弁当など、様々な形態でご飯が提供されるようになり、米やご飯を扱う業界において、おいしさや特徴を正確に評価するニーズが高まっていました。

約7500語から120語を厳選

研究では、32種類の米を用いて、炊きたての状態と1時間後の状態を試食しました。さらに、コンビニ弁当のご飯やパックご飯なども対象とし、複数の専門家が自由記述で特徴を記録しました。専門書や炊飯器のカタログからも表現を抽出し、合計約7500語を収集しました。

これらの用語を「外観」「香り」「味・風味」「食感」の4つのカテゴリーに分類し、意味が重複する表現を削除することで、最終的に120語に絞り込みました。昨年7月には、「米飯のおいしさ評価用語体系」としてまとめられ、農研機構のホームページで公開されています。

具体的な定義の例

この用語体系では、各表現に明確な定義が与えられています。例えば、「ふんわり」は粒と粒の間に空気がある状態を指し、「弾力がある」は、かんだときに跳ね返りがあり、ご飯が元の形に戻ろうとする力が強い感じと定義されています。

また、「ぽそぽそした」は乾燥して崩れたり割れたりしやすい状態を表し、「ぼそぼそした」はその類義語として分類されています。さらに、「化学物質のような」といった、貯蔵や流通の過程で生じた好ましくない味や香りを表現する言葉も含まれています。

業界における標準化の意義

これまで、商品開発などにおいては「官能評価」が行われてきましたが、評価者によって言葉の使い方にばらつきが生じる場合もありました。農研機構の早川文代さんは、「この用語体系を使用すれば、専門家でなくても一定の基準でご飯のおいしさや特徴を言い表すことができます」と話しています。

米取引の現場でも、取引先から「やわらかい米」を求められた際に、粒と粒の間に空気がある状態なのか、水分量の多い状態なのか、認識のずれが生じやすい課題がありました。伊藤忠食糧の米穀本部長、天野敏也さんは、「各企業で食味について研究を進めていても、言葉の定義が異なるため、まるで別の言語でやりとりしているような状態でした」と指摘します。

表現の認識を取引先と共有することは、消費者に商品の特徴に合ったおいしいご飯を届けることにもつながります。この用語体系は、米業界全体のコミュニケーションを円滑にし、品質評価の標準化を促進する役割を果たすことが期待されています。