立石のせんべろ聖地、再開発で変わる風景 人情の温かさは不変
立石せんべろ聖地、再開発で変わる風景 人情は不変

立石のせんべろ聖地、再開発で変わる風景 人情の温かさは不変

千円もあればべろべろに酔える大衆酒場を意味する「せんべろ」が多く集まり、長年“聖地”とされてきた東京都葛飾区の立石。現在、駅前の再開発が急速に進み、街の風景が大きく変わりつつある。2026年2月、その現在を確かめるため、京成立石駅を訪れた。

駅北口は更地に タワーマンション建設へ

変化は一目瞭然だった。かつて路地に小さな居酒屋が密集し、「☆(蚕の虫が口)んべ横丁」として親しまれた駅北口は、すっかり更地となっている。大きなフェンスに囲まれた工事現場では、タワーマンションなどの建設が始まっている。かつての賑わいを偲ばせるものはほとんど残っていない。

南口に残る昭和の風情 老舗甘味処の味わい

一方、駅の南口側にはノスタルジックな昭和の風情がまだ多く残っている。しかし、この地域も再開発の計画が決まっており、近い将来、様変わりする可能性が高い。戦後の闇市が起源とされる立石仲見世商店街を歩き、少し路地に入った「立石舟和」を訪れた。これは、芋ようかんで有名な東京・浅草の「舟和」からのれん分けした老舗の甘味どころだ。

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せんべろの街らしく、抹茶ハイと菓子を組み合わせた「おとなセット」も用意されているが、今回は抹茶との「舟和セット」を注文。店側の説明によると、「芋ようかんの原材料はサツマイモ、砂糖、食塩のみで、手作りにこだわっています」とのこと。実際に口にすると、素材そのもののおいしさがじんわりと広がる味わいだった。

人情あふれる居酒屋 常連客の絆に触れる

この日は寒気の影響で肌寒い一日だった。アーケードの中にあるおでん種店「丸忠蒲鉾店」の店先から立ち上る湯気に誘われ、隣接する居酒屋「おでんの丸忠」へ入った。狭い店内のカウンターは常連客でいっぱい。立石の街で飲むのが好きで、15年ほど前に区内に引っ越してきたという50代の男性は、「この街での人の出会いが僕の人生の全て。この空間がなくなることを想像したら…」と少し涙ぐみながら語った。一同は笑いながらも、大きくうなずいていた。

老舗店主の思い 移転先を模索

「再開発後のテナントには入るつもりはない。移転先があればずっと続けていきたい」と語るのは、丸忠蒲鉾店の日高幸子さん(76)。長年この街で営んできた店への愛着と、変化への複雑な思いがにじむ。記者はお酒を控える身となったが、おでんの温かさと、そこに息づく人情を味わいに、またこの街に来たいと強く思った。

地名の由来 小さな石標に歴史を感じる

ちなみに、京成立石駅から徒歩約10分の場所には、地名の由来とされる小さな石標「立石」がある。街が大きく変わりゆく中、こうした歴史の痕跡も大切に守られていくことを願わずにはいられない。

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