秩父の「こどものまちプロジェクト」が活動に幕 3年間で1500人の子どもに地域愛を伝える
埼玉県秩父市で、子どもたちに地域の素晴らしさを伝える体験会を続けてきた一般社団法人「こどものまちプロジェクト」が、今春をもって活動を終了することが明らかになった。約3年間にわたり、養蚕や札所巡りなど多彩な体験会を30回以上開催し、延べ約1500人の子どもが参加した。最後のイベントでは、夜空にランタンを飛ばす企画などが行われ、活動に華やかな終止符が打たれた。
人口減少に歯止めをかけたい 大学生が始めた地域貢献活動
このプロジェクトは、2023年春に法政大学に通っていた井上遼一郎さん(23)が、地域の人口減少に歯止めをかけたいという思いから始めた。井上さんは「子どもたちが秩父の素晴らしさに触れ、大人になった時に地元に戻ってきてほしい」との願いを込め、約60社から協力を得て、歴史や地場産業を学ぶ体験会を開いてきた。
しかし、井上さん自身が今春、東京都内で就職予定となったことから、「同じ熱量で続けるのが難しくなった」と判断し、活動に終止符を打つことを決めた。3年間の活動を振り返り、井上さんは「高校生ら50人以上の仲間が手伝ってくれたが、次々と進学で秩父を離れてしまい、大学を出て秩父で就職したのは1人だけだった」と厳しい表情で語っている。
最後のイベントでは火おこし体験やランタン飛ばしを実施
3月21日に行われた最後のイベントでは、秩父神社の協力により、約70人の子どもが同神社の歴史や建造物の由来などを学んだ。さらに、子どもたちは境内で火おこしを体験し、地元商店街からは温かい豚汁が振る舞われた。日没後には、参加者が願い事を書いたランタンを夜空に飛ばし、3年間の活動を締めくくった。
活動を通じて生まれた新たな取り組みと子どもたちの成長
このプロジェクトを通じて、市長と高校生が意見交換する「秩父ゆめ会議」や、若者の視点から町づくり施策を提言する「若者会議(仮称)」などが実現した。地域の子どもたちにも大きな影響を与えており、地元の小学5年生の女子(11)は「何度も参加してきて地域の素晴らしさが分かった。活動は終わってしまうけれど、私も高校生になったら井上さんたちと同じ取り組みをしたい」と話している。
こどものまちプロジェクトは、短期間ではあったが、秩父の子どもたちに地域愛を育む貴重な機会を提供し、地域活性化の礎を築いた。井上さんと仲間たちの熱意は、今後も秩父の未来を担う若者たちに受け継がれていくことが期待される。



